蟹を茹でる

カニ @uminosachi_uni の雑記ブログです。好きなもののこと何でも。

マグロでわかる!比喩法

比喩ってあるじゃないですか。ものごとを、それに似ている別のものごとでたとえて表現するやつ。
燃えるように熱い、きみは天使のようだ。これらは「ようだ」「ごとし」などの言葉を用いてたとえる手法で、シミリ(直喩)と呼ばれる。
比喩だよ!って直接わかるようにたとえるのが直喩。



でも実は、それ以外にも比喩にはさまざまな手法がある。なかにはパッと見で比喩だと思わないような比喩表現もある。
「今日の晩御飯は鍋!」←実はこれも比喩です*1
比喩、めちゃめちゃ奥深くて面白いんです。



でも、さまざまなジャンルがあるからこそ難しい。
まず、どんなジャンルがあるかがよくわからない。なんかいっぱいあるらしい。
そんでどんな例がどの比喩法に分類されるのかもよくわからない。境界上の例がけっこうあるのです。

例えて言うなら、「トロピカルハウスとダンスホールレゲエの違いって何??? いま流れてるこの曲はどっちなん???」みたいなことです。ニュアンスで感じてください。



そこでちょっとだけ比喩について、ブログで解説してみたいと思います。
自分で調べてみた範囲で、ほんとに初歩的なことだけですが。




マグロでわかる!比喩法

  • メタファー(隠喩)
  • メトニミー(換喩)
  • シネクドキ(提喩)

比喩法のうち上の3つについて、マグロで説明します。

マンガじゃないです。
マグロです。
おいしいですよね、マグロ。
マグロならみんな親しみがあるかなと思って、マグロにしました。


メタファーとは何か

デジタル大辞泉では、メタファー(隠喩)について以下のような説明があります。

比喩法の一。「…のようだ」「…のごとし」などの形を用いず、そのものの特徴を直接他のもので表現する方法。(後略)

「きみは天使のようだ」なら直喩、
「きみは天使」なら隠喩ということです。



ちなみに、コトバンクのブリタニカ国際大百科事典では、より詳しい説明が載っています。興味ある方は。
隠喩とは - コトバンク

では、具体的にどんな表現をさすのか、マグロで見ていきましょう。


メタファーとしてのマグロ①

能動的で積極的、いつでも活発に行動している人のメタファー。
泳ぐのをやめると窒息してしまうため、眠っているときでも泳ぎ続ける性質に由来する。

使用例:「あの人はマグロだから、立ち止まったら死んじゃうんだよ」


メタファーとしてのマグロ②

受動的で消極的、自分から動かず、相手の行動にも無反応な人のメタファー。
たぶん冷凍マグロに由来する。

使用例:「あいつはマグロだから楽しくない」


マグロの生死によって、メタファーとしての意味が180度変わるのがかなり面白い。究極の二面性。


メトニミーとは何か

次にメトニミー(換喩)。
デジタル大辞泉での説明はこう。

比喩法の一。ある事物を表すのに、それと深い関係のある事物で置き換える法。(後略)

メタファーが「似ているものにたとえる」のに対して、「関係あるものに置き換える」方法がメトニミーです。
例えば、王になることを「王冠を戴く」、アイドルをやめることを「マイクを置く」というのもメトニミー。王と王冠は深い関係にあるし、アイドルとマイクも切り離せない。
「鍋」という容器で、鍋の中身の料理を表現するのもメトニミーです。

もう少し詳しい説明はこちら。
換喩とは - コトバンク


メトニミーとしての築地

マグロといえば築地、築地といえばマグロ。
というくらい、マグロの競りは築地卸売市場の代名詞でした。
10月6日、中央卸売市場は豊洲に移転しましたが、やっぱりまだまだ「豊洲のマグロ」より「築地のマグロ」のほうがしっくりくる気がします。



実はこの「築地のマグロ」という言い回し自体、メトニミーを含んでいます。

ここでの「築地」は、単に地名としての築地ではなく、「旧・東京都中央卸売市場」を指しています。卸売市場を、深い関係のある所在地・築地で置き換えているわけです。



似た例としては、官庁をまとめて「霞ヶ関」と言ったり、国会や政治の世界を「永田町」と呼んだりすることがあります。機関を所在地で置き換えて表すのは、あるあるらしいです。


シネクドキとは何か

3つめ、シネクドキ(提喩)について。
デジタル大辞泉の説明はこう。

比喩法の一。全体と部分との関係に基づき、「花」(全体)で「桜」(部分)を、「小町」(部分)で「美人」(全体)を表現する類。

メトニミーとの違いがちょっと難しいですが、
カテゴリ全体で一部のものを表したり、逆にカテゴリのなかの一部で全体を指し示したりするのがシネクドキです。

「花」は本来、花全体を指す言葉で、梅や椿などいろいろな花も含む。しかし、「花見」が指す花はふつう桜だけです。「花見に行こう!」ってたんぽぽ見に行くことはほぼない。



反対に、一部で全体を指せる表現もあります。
「小町」は美人のひとりですが、美人全体を指すことができる。
「ごはん」は本来お米を炊いたやつですが、おかずも含めた食事全体を指せます。なので「朝ごはんにパンを食べた」という表現もできる。

もう少し詳しい説明はこちら。
提喩とは - コトバンク



もちろん、なんとか頑張ってマグロでも説明します。


シネクドキとしての漬け丼

前提に、まず親子丼の話をさせてください。

「親子丼」は通常、鶏と卵の丼のことです。
たぶん親子丼になってる鶏と卵は本当に血縁があるわけではないし、
逆に成体と卵(または幼体)の関係にある動物は他にもたくさんいますが、それを親子丼と言うことはあまりない*2

つまり、「親子」というカテゴリ全体で、「鶏と卵」という一部を表しています。よってこれはシネクドキ。



「漬け丼」も、似たことが言えます。

「漬け」は本来、漬ける行為や漬けたもの全般を指す言葉。サーモンの醤油漬けもたくあんも奈良漬けも、漬けといってもいいはずです。
しかし、「漬け(づけ)」というときにはふつう、醤油に漬けた赤身のマグロのことを指します。

全体を指すはずの言葉で、特定の一部のものだけを指している「漬け丼」という言い回しは、シネクドキといえるんじゃないでしょうか。


余談

以上で「マグロでわかる!比喩法」を終わります。
マグロでわかっていただけたでしょうか……。

余談ですが今回ブログを書くために、いい例がないか「マグロ メタファー」「鮪 象徴」とかでググってたら、やたらと映画『シェイプ・オブ・ウォーター』の解説記事が出てくる出てくる。
中身読んでも主役の彼がマグロモチーフなわけでもないし、「マグロ」「鮪」でページ内検索してもヒットしないし、なんでかなと思ったら

ギレルモ・デル・トロ監督

デル……トロ……



トロ!!!



Googleってそういうお節介なところありますね。

関連記事?
動物たちを返せーー鸚鵡返しと燕返し - 蟹を茹でる

*1:あなたが晩御飯に、行平鍋や土鍋をばりばり喰う人でなければ

*2:「サーモンといくらの親子丼」「マトンとラムの親子丼」とか、ちゃんと前置きすれば可能ではありますが

動物たちを返せーー鸚鵡返しと燕返し

おうむ返しと燕返し

どちらも「鳥の名前+返し」の組み合わせなのに、まるで意味が異なりますね。



ちなみに、デジタル大辞泉ではそれぞれ、以下のように説明されています。



おうむがえし【鸚鵡返し】
1 他人の言ったとおりに言い返すこと。「鸚鵡返しに答える」
2 和歌の詠み方の一。相手から詠みかけられた歌の一部だけを変えて、別の趣向で返歌すること。
3 酒宴の席で、相手の差す杯を干して、すぐ返杯すること。



つばめがえし【燕返し
1 身を急に反転させること。また、急にもとの状態に戻ること。
「その瞬間―に、…冷刻な驕満な光をその眸から射出したので」〈有島・或る女
2 ある方向に振った刀のきっ先を、急に反転させて相手を斬る刀法。
3 柔道の足技の一。相手の足払いを瞬間的に足払いで返す早技。



簡単にいうと、
鸚鵡返しは「おうむのように《返答する》」
燕返しは「つばめのように《ひっくり返す》」
ということのようです。



ここでふと気がついたんですが、「とんぼ返り」や「ねずみ返し」ってのもある。

「動物+返し(返り)」のパターンって、意外と多いんじゃなかろうか。
ということで、調べてみました。*1
動物たちを、返そう。



では一気にいきます。



いぬがえし【犬返し】
犬も通れないような、断崖となった海岸や河岸。犬もどり。


うまがえし【馬返し】
登山道で、道が険しくなり乗ってきた馬を返す所。富士・日光などに地名として残る。駒(こま)返し。


さるがえり【猿返り】
1 雑芸の一。からだをとび上がらせて、前後左右に空中転回する芸。
2 歌舞伎で、立ち回りの型の一。あおむけになって両足を頭の方へ曲げ、「の」の字形にひっくり返って立つ。


とんぼがえり【蜻蛉返り】
1 地面をけって、空中でからだを1回転させること。「床の上で―してみせる」
2 ある場所に行って用を済ませ、すぐに戻ってくること。「出張先から一日で―する」
3 3 歌舞伎で、役者が立ち回り中に切られたり投げられたりしたときなどに、手をつかずに宙返りすること。とんぼがえり。「―を切る」


ねずみがえし【鼠返し】
ネズミの侵入を阻むための装置。校倉(あぜくら)・板倉の支柱や蔵の入り口に取り付ける逆斜面の板の類。


ひとがえし【人返し】
1 領民の他領への移住を防ぐため、勝手に移住した者を領主間の交渉により召還したこと。
2 江戸時代、江戸・大坂・京都などの大都市に集中した人々を帰郷させたこと。特に、寛政の改革天保の改革では、江戸の人口過剰、農村の荒廃を打開する目的で行われた。旧里帰農。



以上のラインナップになりました。
大まかに分類すると、「動物を《追い返す》」または「動物を《もとの場所に戻す》」ものと、
「動物のように体を《ひっくり返す》」、つまりは回転したり引き返したりするものとに分かれるようです。

おうむとつばめも含めた分類は、こう。

《追い返される》動物……犬、馬、ねずみ、人
《体をひっくり返す》動物……つばめ、猿、とんぼ
《返答する》動物……おうむ



追い返される動物によって、追い返す側も違っているのが面白く感じます。
犬を追い返すのは海岸や河岸、馬を追い返すのは険しい山、ねずみを追い返すのは板、そして人を追い返すのは制度や支配者……ということになります。
なんだか含蓄があるような、ないような。



体をひっくり返す難易度も、動物ごとに違うようです。
つばめの場合は体を反転させる、つまり半回転。
とんぼの場合は1回転。宙返りですね。
猿の場合は「前後左右に空中転回する」とあるので、とんでもないですね。後方宙返り1回半ひねりみたいなことかしら。

猿、やはり体術がすごい。
でもつばめの場合、空を高速で飛びながら行うので、それもそれですごい。*2パイロットが空中転回する技術に近いのではないでしょうか。



そしてどうやらおうむの《返答する》パターンは、かなりイレギュラーなようです。
やっぱり、人間でない動物が喋る光景はかなり印象的なのかもしれない。



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よく考えたら変な気がする言葉 - 蟹を茹でる

*1:デジタル大辞泉にて「返し」「返り」を後方一致検索。なお「鶴の恩返し」等は除いた

*2:つばめの飛行速度は平均時速でも約50km/時で、最高速度だと約170km/時出せるらしい。

よく考えたら変な気がする言葉

「聞き慣れてるから違和感ないけど、よくよく考えたらちょっと変な言葉」ってありません?

ファイナルファンタジーXV

大人気ゲームだから当たり前に受け入れられてますけど、『ファイナルファンタジーXV』って名前ちょっと面白くないですか?

15まで出してるんですよ?

もしもこの世にファイナルファンタジーが実在していなくて、『ファイナルファンタジーXV』がギャグ漫画に架空のゲームとして出てきたら、
絶対「いやファイナルって言ってから何作出してんだよ! 大人気だな!」ってツッコミが入りそう。
閉店セールずっとやってる店みたいな趣がある。

グレープフルーツ

グレープフルーツって名前おかしくないですか?
もちろん、実のなり方がぶどうによく似ているから、というのはわかる。

でもグレープもフルーツやん。
グレープもグレープフルーツもフルーツやん。

「俺は地元じゃ『日本のキムタク』と呼ばれてたんだぜ」
「いやキムタクも日本の人だよ」
みたいなことじゃないですか?

クリームクレンザー

クレンジングクリームと、クリームクレンザー、
構成要素はほぼ一緒なのにお肌への優しさは5万倍くらい違うな。

千の風になって』

いうてそんな、お墓の前で泣くことって少なくないですか?
お葬式とかならまだしも……

『お願いシンデレラ』

みんなかわいいね。

でもシンデレラより魔女に頼んだほうがよくない?
絶対魔女に頼んだほうがなんとかしてくれない?
いや、王太子妃としての権威に期待を寄せているのか?



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本のバーコードからわかること

本のバーコードからわかること

カニです。
突然ですが、本のバーコードに注目したことあります?

実例

こういうやつです。
f:id:bloodandsugar-akai:20181001220750j:plain
画質悪くてすみません。
なんか、ぜいたくにも2段ありますね。


実は、本のバーコードには様々な情報が含まれています。
例えば上図のバーコードからは、

  • 『日本で岩波書店から発行(または発売)された』こと
  • 『一般向けの新書で、数学に関する本。価格(税抜)は820円である』こと

がわかります。

なぜわかるのか、以下で説明したいと思います。

上段

上段のバーコードの数字はこのようになっています。
f:id:bloodandsugar-akai:20181001234142j:plain

意味ごとに区切るとこう。

978-4-00-416004-5


まず『978』。これは書籍JANコードであることを示しています。かんたんに言うと「これは本です」という意味です。

次に『4』。これはグループコードと呼ばれ、出版国・地域などを示します。国・地域ごとに異なる番号になっています。4の場合、「日本で出版された本です」ということです。

その後に来る『00』は出版者コード。出版社ごとに異なるコードを持っていて、00だと岩波書店です。桁数は2~7桁と幅があり、出版者の規模が大きいほど短くなります。
これは2桁なので大規模な出版社。そして『00』は出版者コードの中で最も若い数字、つまり先頭です。さすが歴史と伝統ある岩波書店……。

そして『416004』。これは書名コードで、出版者が書籍ごとに与える番号です。1~6桁あります。岩波書店はめちゃめちゃたくさん本を出してきたことがわかります。


ちなみに、グループコード・出版者コード・書名コードの合計は、合計で9桁でなくてはいけない決まりです。この9桁がISBN*1と呼ばれるものです。
日本だと、出版者コードが2桁なら書名コードは6桁。出版者コードが7桁なら書名コードは1桁。
つまり2桁なら同じ出版者コードで理論上100万冊まで出版できますが、7桁の小規模出版者は10冊出したらコードが尽きます(尽きたら新しい出版者コードを取得する必要があります)。世知辛いですね。

最後の『5』はチェックデジットと呼ばれ、数字に入力ミスがないかをチェックするために使います。検算の方法がちゃんとあるのですがややこしいので割愛します。
(興味ある方は「チェックデジット 書籍 計算」で検索してみてください)

下段

下段はこうなっています。
f:id:bloodandsugar-akai:20181001234209j:plain

意味で区切るとしたらこう。

192-0241-00820-9


まず『192』ですが、これも書籍JANコードであることを示します。「これは本です(2回目)」ということです。
ちなみに消費税が3%から5%に変わったとき*2に191から192に変更されたそうです。

次に『0241』、これはC分類や分類コードと呼ばれます。4桁です。
1桁目は販売対象。一般、専門、児童向けなどがあり、0の場合は一般。
2桁目は発行形態。単行本、文庫、新書、コミックなどがあり、2は新書。
3~4桁目は内容。本のジャンルです。41の場合、数学です。

C分類、一覧を見たい方はこちらをどうぞ。なんかこういう表みるとちょっとわくわくする……
日本図書コードの分類コード(Cコード) - CyberLibrarian

次に『00820』、これは図書の本体価格(税抜)を示します。これだと820円ということ。
5桁しかないんじゃ10万円以上する本はどうするのかというと、『00000』になるらしいです。カンストしてるやん……。1回見てみたい。

最後の『9』はさっきも出ましたチェックデジットです。誤りのチェック機能は大事。



以上で説明は終わりです。
もしお暇があったら、お気に入りの本のバーコードを眺めてみてください。

参考になったサイト

バーコード (書籍JAN コード)

関連記事(本にまつわるもの)

中田敦彦『僕たちはどう伝えるか』読書感想文

読書感想文書くのっていつぶりだろうか。懐かしい。

子供のころは大体課題図書を勧められるがまま読んで、本読むのは好きだったからけっこう楽しくて
でも感想が「面白い」と「この展開いいな」の2択だったから、大人受けする感想など書けるはずもなく。

できた感想文はほぼあらすじの説明。地区予選を通ったことすらなかった。


だいたい、よく考えたら、読書感想文の書き方を知らなかった小学生時代。
そして今も、知らない。


知らないからには勝手に自由に書くしかない。
さすがに小学生のころより多少は賢くなっているはずなので、もう少しいい感じのものが書けると思いたい。


目次

中田敦彦『僕たちはどう伝えるか』読書感想文

基本的な書誌事項

まず、これから説明する本が何なのかを説明します。
この読書感想文を読んで、本に興味を持ってくれた奇特な人が、本を検索しやすいようにしておきたい。
(知ってる人は読み飛ばしてください)


著者  :中田敦彦
出版社 :宝島社
出版年 :2018年
タイトル:『僕たちはどう伝えるか 人生を成功させるプレゼンの力』
ISBN  :978-4-8002-8460-0
価格  :1200円


これでもう、「何やったっけ、あの本……」とうろ覚えで一生懸命検索する手間とはさよならです。

本屋の店員さんに本を注文する時も、図書館で本をリクエストする場合でも、この情報で十分なはず。(最悪めんどうくさかったら、これをスクショして店員や図書館員に見せてください。たぶん何とかしてくれる)


まずは外装*1

表紙はこんな感じ。「心は、つかめる」
僕たちはどう伝えるか (単行本)


中田敦彦の圧(以下、中田圧彦)が凄い。


そんでほぼジョブズじゃん。
スティーブ・ジョブズ I

ただでさえ人の顔のどアップで目をひくのに、スティーブ・ジョブズに似てる。
たぶん意図的に寄せてる。

極めつけに、カメラ目線の写真。
つまり、本を見た人は中田敦彦とめっちゃ目が合うということだ。圧が凄いのはそのせい。
人は他者の視線に敏感なので、「なんか視線を感じて無意識に振り向いたら中田敦彦だった」みたいなことさえありそう。
衆目をひく戦略がめちゃくちゃ考えられている。



でも、「目が合ってるの落ち着かない……」「人の顔のどアップは苦手……」って方もご安心ください。
この中田圧彦の写真、でかい帯なので外すことができます。
帯を外すとこんな感じ。
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白地に黒とピンクのゴシック体。装飾のないシンプルな表紙で、これもまた良い。
個人的にはシンプルな表紙が好きなので、オリラジファンじゃなかったら買って速攻で帯外してたと思う。


にしてもこういう目立つ本、鮮やかな赤字を使うイメージがある。
どうして落ち着いた濃いめのピンクに?

中田圧彦に赤字をぶつけたらさすがに主張が強すぎると思ったのか。
……はっ、もしかして推しカラー!?*2
などと錯乱もしたけど、単にマゼンタの単色インクがこういう色なのか。

まえがき

まえがきについては、ブログで全文公開されたときに分析を書きました。「そもそも本のまえがきとは?」というところから解説しています。
興味があれば見てみてください。喜びます。
本のまえがきを読もう - 蟹を茹でる

内容

本の主題は『プレゼンテーション』。
中田さんが実際に活用しているテクニック、練習法、説得力の持たせ方を解説。逆にプレゼンで避けたほうがよいことも、はっきり例が示されている。

まさに、筆者のプレゼンテーションの極意がつまった虎の巻。ハウツー本、じゃなくて『虎の巻』と呼びたい仕上がり。

ポイントを述べるだけでなく、「なぜそれが重要なのか」まで詳しく説明してくれるので、説得力があって、すっと頭に入ってくる。
また、中田さん自身の体験したエピソードも、主張の裏付けとしてたくさん組み込まれている。
中田さんがどんな人間で、何を考えてどんな半生を送ってきたのか、この本を読めばよくわかると思う。

プレゼンの虎の巻としても、中田敦彦の自叙伝としても楽しめる内容です。

構造の特徴

内容以上にユニークなのが、本の構造。
版の組み方と言えばいいのだろうか。

本の中身を撮影するのはちょっと気がひけるので、とはいえ引用では伝わらないので、本屋で見かけたら開いてみてほしい。


簡単にいうと、こういう感じ。

  • 1文が短い(なるべく別々の文に区切っている)
  • 1文ずつ改行していく
  • 段落の代わりに、文と文のあいだを1行空けて区切りを示す
  • ページ設定もフチの余白が広め
  • 強調部分が太字


賛否はありそうな感じだが、はちゃめちゃに読みやすい。
自分はまあまあ本好きのつもりだから最初は違和感あったけど、違和感を読みやすさがどんどん上回ってくる。読破ビリティ*3が高くて、最初から最後まで一気に読める。


「どこ読んでるかわからなくなって隣の行読んでたりする」
「内容が頭に入らず同じ行を何度も読んでしまう」
「文字を目で追うのが疲れる」
そういう読書が苦手な人こそ、1度試しに見てみてほしい本です。

もしこの本を読破できたなら、その人が苦手なのは読書そのものではなくて、「ぎっしり詰まった文字を1行ずつ目で追うこと」だけかもしれない。

文体

筆者の中田さん自体が踊れる人だからか、文章にもリズムがある。音読してみてひっかかるところがない。
文章のリズムに身を委ねれば、どんどん読み進められる(リズム感がないカニでもうまく乗れたので安心してほしい。少なくとも変拍子とか要求してこない)。

語り口調なこと、ことばや文構造が平易でわかりやすいこと、わかりやすく噛み砕いて説明してくれること。
このあたりが、文章の流れに乗るのを助けてくれる。


はじめに結論を言い切る、簡潔に力強く主張する、身近な例で説得力をもたせるなど、『プレゼンテーション』のテクニックが本自体に活かされているのも面白い。
リズムの良さによるスピード感もあいまって、実際にプレゼンを受けているような印象を受ける。

この本はプレゼン技法の解説書であると同時に、プレゼンの実演でもあるのだ。

イラスト

章の変わり目ごとに1枚イラストが入るんだけど、これがまたかーわいい。

クオリティが高くてモデルによく似ているのに、独特のゆるさで魅力的。めちゃくちゃ癒される。
このイラストを見ていると、だんだん中田敦彦がかわいく思えてくること間違いなし。


イラストを担当なさったのは、こつじゆいさん。
InstagramTwitterもやってらっしゃいます。
https://www.instagram.com/kamome_0309/

か、かわいい……。インスタのイラストが全部かわいい。そしてうまい。


本にはオリエンタルラジオの2人のイラストや、RADIOFISH6人のイラストも。ファンは必見です。

僕たちはどう伝えるか (単行本)

僕たちはどう伝えるか (単行本)

関連記事
プレゼンターの中田さんもいいですが、RADIOFISHの御神体としての中田さんも素晴らしいです

相方の藤森慎吾さんも最高です

*1:そういえば外装や表紙に言及してる読書感想文って見たことない。知ってたら教えてほしい

*2:中田敦彦の相方・藤森慎吾はメンバーカラーがピンクで、そして中田敦彦は藤森慎吾が大好き

*3:読破可能性。いま考えた言葉

文字の形はおもしろい

お久しぶりです、カニです
今回は、
文字は面白い
という話をしたいと思います

yを隠すには

文字の形を見ていると、時々しょうもないことを思い付く。

例えば、小文字のy。
f:id:bloodandsugar-akai:20180924085824j:plain
手書きの筆記体の場合、上のような文字の形になりますよね。

これを見ていて、ふと思い付いたんですが
こいつ口の中に隠せるんじゃないかな。



こう言っただけじゃちょっとわけがわからないと思うので、ストーリー仕立てで説明しますね。



~組織の追っ手から逃げているy。そこに偶然、口が通りかかる~

y 「悪いやつらに追われてるんです! 助けてください!」
口「えぇ!?」
追っ手「おらお前ら! 手分けして探せ! 生死は問わん!」

口「! 君、ここに入って! 急いで!」
y 「は、はい!」
口「もう少し猫背で! 線の強弱工夫して!」
y 「はい!」

~後を追ってくる組織の者~
追っ手「おいそこのお前、怪しいな。こっち向いてみろ」
f:id:bloodandsugar-akai:20180924085811j:plain


追っ手「なんだ、『図』か……」
図「なんすか」
追っ手「お前、さっきここでyを見なかったか?」
図「見てないっす」
追っ手「そうか。なら用はない」

~走り去っていく組織の者~



図「ペッ」
口「うまくごまかせたみたいだ……」
y 「た、助かった~」

口「でもまた別の追っ手が来ないとも限らない。早く逃げたほうがいい」
y 「はい。ありがとうございます! この恩は忘れませんから!」

~走り去っていくy~

~Happy end~



そういうことです。


「め」と「メ」のつくり方

ひらがなの、め。
これ思うんですけど、ひらがなの「あ」からしたら、「め」ってめちゃめちゃホラーじゃないですか?

だって、「あ」からしたら、本来あるべき上部(線が十字に交差する部分)がないわけじゃないですか、「め」。

ヒトでいうデュラハンとか、ヘシアン(首なし騎士)のようなものですよね。
夜道で出会ったら絶叫すると思うんですよね。



め「……」
あ「あああああ!!!」

まあそれはしょうもない駄洒落なんですけど



しかもよく考えたら、半角カタカナの「メ」、ちょうど、「あ」の上部の部分と形状が一致してるんです。
つまり「あ」から見たら、カタカナの「メ」は横向きの生首みたいなもの。
夜道で出会ったら絶叫すると思う。



メ 「……」
あ「生首!!!」

喋れたんですね



そして、その両方に出会った「あ」は、気付くことでしょう。
「め」と「メ」のつくり方って、もしかして……


さいとうさんのさい

さいとうさんのさい、色んな字がありますよね。
斉藤、斎藤、齊藤、齋藤。などなど。

そして、中でもこの「齋」の字なんですが……
f:id:bloodandsugar-akai:20180926204258j:plain
回転ブランコに似てません?

参考画像
回転ブランコ - Google 検索



あーなるほどそこが上の部分で、そこがブランコで、そこが柱か~、みたいな。

わかってもらえるでしょうか。
わかってもらえたら嬉しいです。



今回は以上です。

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一人称についての雑感

「私(わたくし)」ってあるじゃないですか。
あれ、語義的には「公(おおやけ)」の対義語であるはず。なのに、一般的な一人称のなかでは最も公的な場に相応しいのが面白い。
「公の場では私を用いましょう」ってなんていうか、「パジャマパーティーにはスーツを着て行きましょう」みたいな不条理さがちょっとある。ような気がする。


「僕」のこと
この前、本の帯で「猫の僕が~」で始まる文章を見かけたんですよ。
たぶん一人称が「僕」の猫のキャラクターが主人公なんだろうなって、頭ではちゃんとわかってるんですけど、
どうしても「ねこのしもべが」って読みたい。猫様の下僕


「俺様」系ってあるじゃないですか。
「俺様」も「朕」も、自分に尊称をつけて偉く言うタイプの一人称って点では共通してるのに、キャラクターの感じは真逆な気がする。
俺様系男子VS朕系男子……皇帝じゃん……
俺様系ごときでは皇帝には太刀打ちできないよ……


「妾ら(わらわら)」
笑笑感すごいな



おまけ
表1 一人称の要素早見表
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