蟹を茹でる

カニ( @uminosachi_uni )のブログです

動物たちを返せーー鸚鵡返しと燕返し

おうむ返しと燕返し

どちらも「鳥の名前+返し」の組み合わせなのに、まるで意味が異なりますね。



ちなみに、デジタル大辞泉ではそれぞれ、以下のように説明されています。



おうむがえし【鸚鵡返し】
1 他人の言ったとおりに言い返すこと。「鸚鵡返しに答える」
2 和歌の詠み方の一。相手から詠みかけられた歌の一部だけを変えて、別の趣向で返歌すること。
3 酒宴の席で、相手の差す杯を干して、すぐ返杯すること。



つばめがえし【燕返し
1 身を急に反転させること。また、急にもとの状態に戻ること。
「その瞬間―に、…冷刻な驕満な光をその眸から射出したので」〈有島・或る女
2 ある方向に振った刀のきっ先を、急に反転させて相手を斬る刀法。
3 柔道の足技の一。相手の足払いを瞬間的に足払いで返す早技。



簡単にいうと、
鸚鵡返しは「おうむのように《返答する》」
燕返しは「つばめのように《ひっくり返す》」
ということのようです。



ここでふと気がついたんですが、「とんぼ返り」や「ねずみ返し」ってのもある。

「動物+返し(返り)」のパターンって、意外と多いんじゃなかろうか。
ということで、調べてみました。*1
動物たちを、返そう。



では一気にいきます。



いぬがえし【犬返し】
犬も通れないような、断崖となった海岸や河岸。犬もどり。


うまがえし【馬返し】
登山道で、道が険しくなり乗ってきた馬を返す所。富士・日光などに地名として残る。駒(こま)返し。


さるがえり【猿返り】
1 雑芸の一。からだをとび上がらせて、前後左右に空中転回する芸。
2 歌舞伎で、立ち回りの型の一。あおむけになって両足を頭の方へ曲げ、「の」の字形にひっくり返って立つ。


とんぼがえり【蜻蛉返り】
1 地面をけって、空中でからだを1回転させること。「床の上で―してみせる」
2 ある場所に行って用を済ませ、すぐに戻ってくること。「出張先から一日で―する」
3 3 歌舞伎で、役者が立ち回り中に切られたり投げられたりしたときなどに、手をつかずに宙返りすること。とんぼがえり。「―を切る」


ねずみがえし【鼠返し】
ネズミの侵入を阻むための装置。校倉(あぜくら)・板倉の支柱や蔵の入り口に取り付ける逆斜面の板の類。


ひとがえし【人返し】
1 領民の他領への移住を防ぐため、勝手に移住した者を領主間の交渉により召還したこと。
2 江戸時代、江戸・大坂・京都などの大都市に集中した人々を帰郷させたこと。特に、寛政の改革天保の改革では、江戸の人口過剰、農村の荒廃を打開する目的で行われた。旧里帰農。



以上のラインナップになりました。
大まかに分類すると、「動物を《追い返す》」または「動物を《もとの場所に戻す》」ものと、
「動物のように体を《ひっくり返す》」、つまりは回転したり引き返したりするものとに分かれるようです。

おうむとつばめも含めた分類は、こう。

《追い返される》動物……犬、馬、ねずみ、人
《体をひっくり返す》動物……つばめ、猿、とんぼ
《返答する》動物……おうむ



追い返される動物によって、追い返す側も違っているのが面白く感じます。
犬を追い返すのは海岸や河岸、馬を追い返すのは険しい山、ねずみを追い返すのは板、そして人を追い返すのは制度や支配者……ということになります。
なんだか含蓄があるような、ないような。



体をひっくり返す難易度も、動物ごとに違うようです。
つばめの場合は体を反転させる、つまり半回転。
とんぼの場合は1回転。宙返りですね。
猿の場合は「前後左右に空中転回する」とあるので、とんでもないですね。後方宙返り1回半ひねりみたいなことかしら。

猿、やはり体術がすごい。
でもつばめの場合、空を高速で飛びながら行うので、それもそれですごい。*2パイロットが空中転回する技術に近いのではないでしょうか。



そしてどうやらおうむの《返答する》パターンは、かなりイレギュラーなようです。
やっぱり、人間でない動物が喋る光景はかなり印象的なのかもしれない。



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*1:デジタル大辞泉にて「返し」「返り」を後方一致検索。なお「鶴の恩返し」等は除いた

*2:つばめの飛行速度は平均時速でも約50km/時で、最高速度だと約170km/時出せるらしい。