蟹を茹でる

カニ @uminosachi_uni の雑記ブログです。好きなもののこと何でも。

中田敦彦『僕たちはどう伝えるか』読書感想文

読書感想文書くのっていつぶりだろうか。懐かしい。

子供のころは大体課題図書を勧められるがまま読んで、本読むのは好きだったからけっこう楽しくて
でも感想が「面白い」と「この展開いいな」の2択だったから、大人受けする感想など書けるはずもなく。

できた感想文はほぼあらすじの説明。地区予選を通ったことすらなかった。


だいたい、よく考えたら、読書感想文の書き方を知らなかった小学生時代。
そして今も、知らない。


知らないからには勝手に自由に書くしかない。
さすがに小学生のころより多少は賢くなっているはずなので、もう少しいい感じのものが書けると思いたい。


目次

中田敦彦『僕たちはどう伝えるか』読書感想文

基本的な書誌事項

まず、これから説明する本が何なのかを説明します。
この読書感想文を読んで、本に興味を持ってくれた奇特な人が、本を検索しやすいようにしておきたい。
(知ってる人は読み飛ばしてください)


著者  :中田敦彦
出版社 :宝島社
出版年 :2018年
タイトル:『僕たちはどう伝えるか 人生を成功させるプレゼンの力』
ISBN  :978-4-8002-8460-0
価格  :1200円


これでもう、「何やったっけ、あの本……」とうろ覚えで一生懸命検索する手間とはさよならです。

本屋の店員さんに本を注文する時も、図書館で本をリクエストする場合でも、この情報で十分なはず。(最悪めんどうくさかったら、これをスクショして店員や図書館員に見せてください。たぶん何とかしてくれる)


まずは外装*1

表紙はこんな感じ。「心は、つかめる」
僕たちはどう伝えるか (単行本)


中田敦彦の圧(以下、中田圧彦)が凄い。


そんでほぼジョブズじゃん。
スティーブ・ジョブズ I

ただでさえ人の顔のどアップで目をひくのに、スティーブ・ジョブズに似てる。
たぶん意図的に寄せてる。

極めつけに、カメラ目線の写真。
つまり、本を見た人は中田敦彦とめっちゃ目が合うということだ。圧が凄いのはそのせい。
人は他者の視線に敏感なので、「なんか視線を感じて無意識に振り向いたら中田敦彦だった」みたいなことさえありそう。
衆目をひく戦略がめちゃくちゃ考えられている。



でも、「目が合ってるの落ち着かない……」「人の顔のどアップは苦手……」って方もご安心ください。
この中田圧彦の写真、でかい帯なので外すことができます。
帯を外すとこんな感じ。
f:id:bloodandsugar-akai:20180926233000j:plain

白地に黒とピンクのゴシック体。装飾のないシンプルな表紙で、これもまた良い。
個人的にはシンプルな表紙が好きなので、オリラジファンじゃなかったら買って速攻で帯外してたと思う。


にしてもこういう目立つ本、鮮やかな赤字を使うイメージがある。
どうして落ち着いた濃いめのピンクに?

中田圧彦に赤字をぶつけたらさすがに主張が強すぎると思ったのか。
……はっ、もしかして推しカラー!?*2
などと錯乱もしたけど、単にマゼンタの単色インクがこういう色なのか。

まえがき

まえがきについては、ブログで全文公開されたときに分析を書きました。「そもそも本のまえがきとは?」というところから解説しています。
興味があれば見てみてください。喜びます。
本のまえがきを読もう - 蟹を茹でる

内容

本の主題は『プレゼンテーション』。
中田さんが実際に活用しているテクニック、練習法、説得力の持たせ方を解説。逆にプレゼンで避けたほうがよいことも、はっきり例が示されている。

まさに、筆者のプレゼンテーションの極意がつまった虎の巻。ハウツー本、じゃなくて『虎の巻』と呼びたい仕上がり。

ポイントを述べるだけでなく、「なぜそれが重要なのか」まで詳しく説明してくれるので、説得力があって、すっと頭に入ってくる。
また、中田さん自身の体験したエピソードも、主張の裏付けとしてたくさん組み込まれている。
中田さんがどんな人間で、何を考えてどんな半生を送ってきたのか、この本を読めばよくわかると思う。

プレゼンの虎の巻としても、中田敦彦の自叙伝としても楽しめる内容です。

構造の特徴

内容以上にユニークなのが、本の構造。
版の組み方と言えばいいのだろうか。

本の中身を撮影するのはちょっと気がひけるので、とはいえ引用では伝わらないので、本屋で見かけたら開いてみてほしい。


簡単にいうと、こういう感じ。

  • 1文が短い(なるべく別々の文に区切っている)
  • 1文ずつ改行していく
  • 段落の代わりに、文と文のあいだを1行空けて区切りを示す
  • ページ設定もフチの余白が広め
  • 強調部分が太字


賛否はありそうな感じだが、はちゃめちゃに読みやすい。
自分はまあまあ本好きのつもりだから最初は違和感あったけど、違和感を読みやすさがどんどん上回ってくる。読破ビリティ*3が高くて、最初から最後まで一気に読める。


「どこ読んでるかわからなくなって隣の行読んでたりする」
「内容が頭に入らず同じ行を何度も読んでしまう」
「文字を目で追うのが疲れる」
そういう読書が苦手な人こそ、1度試しに見てみてほしい本です。

もしこの本を読破できたなら、その人が苦手なのは読書そのものではなくて、「ぎっしり詰まった文字を1行ずつ目で追うこと」だけかもしれない。

文体

筆者の中田さん自体が踊れる人だからか、文章にもリズムがある。音読してみてひっかかるところがない。
文章のリズムに身を委ねれば、どんどん読み進められる(リズム感がないカニでもうまく乗れたので安心してほしい。少なくとも変拍子とか要求してこない)。

語り口調なこと、ことばや文構造が平易でわかりやすいこと、わかりやすく噛み砕いて説明してくれること。
このあたりが、文章の流れに乗るのを助けてくれる。


はじめに結論を言い切る、簡潔に力強く主張する、身近な例で説得力をもたせるなど、『プレゼンテーション』のテクニックが本自体に活かされているのも面白い。
リズムの良さによるスピード感もあいまって、実際にプレゼンを受けているような印象を受ける。

この本はプレゼン技法の解説書であると同時に、プレゼンの実演でもあるのだ。

イラスト

章の変わり目ごとに1枚イラストが入るんだけど、これがまたかーわいい。

クオリティが高くてモデルによく似ているのに、独特のゆるさで魅力的。めちゃくちゃ癒される。
このイラストを見ていると、だんだん中田敦彦がかわいく思えてくること間違いなし。


イラストを担当なさったのは、こつじゆいさん。
InstagramTwitterもやってらっしゃいます。
https://www.instagram.com/kamome_0309/

か、かわいい……。インスタのイラストが全部かわいい。そしてうまい。


本にはオリエンタルラジオの2人のイラストや、RADIOFISH6人のイラストも。ファンは必見です。

僕たちはどう伝えるか (単行本)

僕たちはどう伝えるか (単行本)

関連記事
プレゼンターの中田さんもいいですが、RADIOFISHの御神体としての中田さんも素晴らしいです

相方の藤森慎吾さんも最高です

*1:そういえば外装や表紙に言及してる読書感想文って見たことない。知ってたら教えてほしい

*2:中田敦彦の相方・藤森慎吾はメンバーカラーがピンクで、そして中田敦彦は藤森慎吾が大好き

*3:読破可能性。いま考えた言葉