※本記事はnoteから移植しました
みんなで早押しクイズ
スマホアプリ『みんなで早押しクイズ』をやっている。
先週、初めて「みんなで対戦」でSランクまで到達できた。めちゃめちゃ嬉しかった。
しかし、Sランクの戦場に入った途端、それまでとは全く景色が変わった。
違う競技になったと言っても過言ではないと思う。
強豪相手にテニスの試合をしていたはずが、いつの間にかスーパーサイヤ人相手に超能力テニスをやらされていたのだ。
(なお、自分は人間でまだ超能力を使えないものとする)
なんでこんなに戸惑いを覚えてしまうのか、記録しとくことにする。
もちろん相手がみんな強くなって歯が立たないというのもあるが、それだけが理由ではない感じなのだ。
そのあたりを明らかにするために、まずは今まで体感していたみんはやの世界について考えたい。
A+ランクまでのみんはや
筆者はクイズど素人である。競技クイズは全く経験がない。
ただクイズ番組は昔から好きだし、そこそこ学校のお勉強はできた方だと思う。
A+ランクまでのみんはやの世界は、そんなクイズ好き素人が想像する通りの「早押しクイズ」の世界だった。
特徴としては、以下が挙げられる。
- 難しい問題もあるが、答えを聞けば「聞いたことある」とは思える難易度
- 問題を全部読んでから押してもだいたい間に合う(みんなで対戦の場合)
- 知ってる問題を確実に取っていければ勝てる
例えるなら、バラエティ要素強めのクイズ番組でやっている「早押しクイズ」のイメージだ。
Qさま!はややガチ寄りなので、クイズミラクル9などを想像してもらえば近いと思う。
わからなかった問題でも答えを聞けば「ああ~!」と納得が行き、
答えを思いついてから押しても間に合い、
ミスをしないよう注意して、わかる問題だけ着実に答えればよく、
そこそこ知識があれば2位までに食い込めなくもない(もちろん負けることもたくさんある)。
そういう安定した「早押しクイズ」世界で、筆者は今まで遊んでいた。
このフィールドなら、そこそこ知識があればクイズ素人にも十分勝ち目があった。
しかし、Sランクに入るとフィールドは一変する。
Sランクからのみんはや
Sランクの世界の理で、今までと異なるのは主に次の2つ。
- 問題の答えがわかるのは当たり前
- その上で、鍛え上げられた「速さ」が求められる
・答えがわかるのは当たり前
A+ランクまでは知識の有無が命運を分けるフィールドだった。
難しい問題は全員がスルーすることも多く、危険球に手を出さず、打てる球だけ着実に打てば勝ち目があった。
だが、ここではそうは問屋が卸さない。
みんはやSランカーにとって、もはや知識は大前提なのである。
あなたは以下に挙げる単語のうち、いくつの意味をご存知だろうか。
- ピスト
- ブラキエーション
- アフラ・ベーン
- ブリスターパック
「意味わかるどころか聞いたこともないわ」と思われた方もいるはずで、私もそうだった。
みんはやSランカーはこれらが答えになる問題を当然のように正解し、その上で答える「速さ」を競いあう戦闘狂なのである。
私はその過酷な戦場に「おまえ農民やけど素振りきれいやな」と剣渡されて放り込まれたパーソンなので、できることは死なないよう逃げ回ることくらいである。
でも死んだ(既に3回くらいA+ランクに落ちた)
・「速さ」が試される競技になった
筆者がSランクでつまずいた一番の要因がこれだ。
どう考えても、これまでやっていた「早押しクイズ」とは別の競技になった。
今まで問われたのは、答えを知っているか否か、ただそれだけだった。
それがSランクになった途端、問題文のどこで答えを確定できるかを見極める競技になったのだ。
完全新作の要素が1個乗っかってきた。
この要素を攻略するには、メタ認知能力がめちゃめちゃ必要とされる。
メタ認知能力は、ざっくり言えば「自分の認知の状態を客観的に認知する能力」のことだ。
ガチの競技クイズで勝つには、おそらくこの能力がめちゃめちゃ高くないといけない。
なぜかというと、普通に答えを思い出してから押したのでは遅いからだ。押し負ける。
答えを思い出す(←認知)前に、
自分が問題の答えを知っているか否かを判断(←メタ認知)し、
問題文をどこまで読めば自分が答えを確定できるかを判断(←メタ認知)して、
ボタンを押して答える。
この、「答えがわかる前に、答えがわかるかどうかがわかる」感覚は、競技クイズの醍醐味かもしれない。まだ素人だけど。
余談
さらに「速さ」を極めるためには、競技クイズのお約束を理解することも大事らしい。
それを実感したのが次の問題だ。
Q.いわゆる「文房四宝」とは、
もう↑の時点でみんな押すのよ。何を問われるかまだ確定してないはずなのに。
一見わけがわからない。
だが、競技クイズの文法とみんはやアプリの性質を熟知していれば、ここで押すのはそれほど無謀な行為ではないとわかる。
以下、条件を整理していきたい。
まず、この時点でも答えの候補はかなり限られている。
- 「文房四宝」=筆、墨、硯、紙のどれかが問われる
- 文房四宝と対比される別の「○○四宝」が問われる(ですが問題)
後者の可能性は、この問題文に限っては低い。なぜか。
ふつう「四宝」と言って連想されるのは、以下の2つくらいである(はず)。
- 仏教における四宝=金、銀、瑠璃、水晶
- 文房具における四宝=筆、墨、硯、紙
なので仏教における四宝を聞いてくる可能性は、論理的にはあり得る。
だが文房具における四宝が「文房四宝」と呼ばれるのとは異なり、仏教における四宝は単に「四宝」と呼ばれる(○○四宝の形では呼ばないらしい)。
ゆえに、仏教における四宝を問うですが問題であれば、問題文はこうならないとおかしい。
Q.いわゆる文房具における四宝は、
「文房四宝」という単語を出すと文のつながりがおかしくなり、ですが問題として美しくないからだ。
しかもみんはやアプリの回答方法は、順不同の複数の答えを列挙させるのには向いてない。これも判断材料になる。
よって、問われるのは文房四宝のどれかひとつと考えられる。
では、そのうちどれが答えか?
管見の限りでは複数から1つを問う場合、以下に当てはまるものが選ばれがちだ。
- 一番マイナーなやつ
- 一番難しいやつ
- 浮いてるやつ
体育で3人組になれって言われたときに仲良しグループから外される1人が選ばれるのとだいたい同じ基準だ。
この基準で考えてみよう。
文房四宝のなかには、特に際立ってマイナーなものも難しいものもなさそうだ。
(書道をやるとき必ずセットで使うので)
なので浮いてるやつを探す。
墨と硯は親友だろう。色もお揃いだし。
筆は全員とまんべんなく仲が良さそう。たぶん4人の中で最も華やかなキャラだ。
紙は筆とは仲が良いが、墨や硯とは間接的につながっているだけ。
紙だな。
キャラを考えずとも、4つのうちで紙だけは明らかに消耗品なので浮いてる。
(正解も紙でした)
……と、ここに至るまでの判断を、問題文が読まれるわずかな時間で直感的に行えなければ勝てないのだ。
これが競技クイズの世界か……