神様Discoを踊った話
初めて観たときの畏怖
RADIOFISHの『神様Disco』を初めて生で聴いたのは、2019年のワンマンライブ『NIRVANA』だった。
そこで生歌を聴き、演出を生身で体験し、彼らのダンスを初めて目にしたとき、その振り付けになぜか言い知れぬ恐怖を覚えた。
めちゃくちゃ面白くてキャッチーでポップで、ゲラゲラ笑いながら釘付けになったのに、同時に背筋がぞわぞわしたのだ。
恐怖というよりは、畏怖と呼ぶべき感情かもしれない。
RADIOFISH『NIRVANA』2019 ライブレポートのようなもの - 蟹を茹でるでも、こんな感想を書いていた。
「神様Disco」の頭でDJみたいにスクラッチする振り、激ヤバだった。完全に脳を神様に支配され、精神を神のDiscコレクションの1枚にされスクラッチして遊ばれている、そして人々もそれを喜んで受け入れている、みたいなニュアンスを感じて史上1番ヤバかった。
このヤバさの源泉を、何とか読み解こうとした。
歌詞を見ながら何度も曲を聴いて、振り付けを頭で反芻し、『神様Disco』を理解しようとした。
だが考えても考えても、否、考えれば考えるほど、『神様Disco』はわけがわからなくなっていった。
そういう魔曲なのだ。
もはや私は分析も考察も諦め、「理解の及ばぬ高みにある大きな存在」として『神様Disco』を受け入れるほかなかった。
まあそういう向き合い方もありかな、と思った。
だが、そんな私と『神様Disco』の関係を、大きく転換する出来事があった!
その名も、神様Disco会である!
神様Disco会とは
先日フォロワーに誘われ、RADIOFISHファン有志で『神様Disco』の振りを覚えて踊る会に参加してきた。
オタクの行動力って侮れないな……
(主催者さま、先生、参加者のみなさん誠にありがとうございました)
会ではダンス経験者の方(彼女もRADIOFISHファン)に先生になってもらい、振り付けを頭からひとつひとつ丁寧に教えていただいた。
それが非常に分かりやすく親切で、教えを乞い、自分でもおっかなびっくり踊ってみながら、私はようやく『神様Disco』のダンスで何が起きてるのかを知った。
今までいくらダンスを見て教わろうとしても、「何回説明されても何が起こってんだかさっぱりわからない」状態がデフォルトだったので、
今回「あっ、これがこうなってそれしてるんだ~!」とわかったのが感動的な体験だった。
なお、わかったからといってうまく踊れるわけではない。これはひとえに私の運動能力の低さゆえです。
レクチャーを受けて振りを覚えたあとは、参加者みんなで無限神様Discoを実施。
無限神様Discoとは、無限リピートされる『神様Disco』にのってひたすら踊り続ける、ほぼスーフィーの修行である。
無限に踊るのが『神様Disco』でよかった、だってこの曲にはダンス休憩タイム*1があるから……
最後は汗だくでヘロヘロになりながら、なんとか振り付けを覚えた。
ラストで全員一列になり、脳をスクラッチする「あのポーズ」をやったときの達成感は半端なかった。
あれは本当に代えがたい体験。
ちなみに筋肉痛は3日治らなかった。
振り付けで感じたヤバさの話
今までいくら考えても理由がわからず、考えるほど泥沼にはまっていった『神様Disco』について、この会で初めてそのヤバさを掴めた気がした。
そう、FISHさんも『Make ya Groove』で言っていたではないか。
それが何かを考えているうちに時経つなら
動き続けて Don't think feel it
『神様Disco』を理解(わか)るために必要なのは、考えることではなく、踊ることだったのだ!!
そしてここからはRADIOFISHオタクの妄言なので、話半分どころか1%くらいで聞いてほしい。なんなら聞かなくてもいい。
「振り付けに対してこういうヤバさを感じた」という話を勝手にしていく。
大丈夫?
ここから先は意味のない錯乱しかないよ
よし。錯乱するか
まず、「無限の力を手に入れるんだ」でスキマス全員が中央に引き寄せられていくのがヤバい。
つまりこれは、無限の力とはすなわちNAKATAであるという観念なのでは?
力を手にしようと求めることは、イカロスが太陽に近づくのと同じように、NAKATAに近づく行為でもあるのだ……
そして「過去に学び明日につなぐ」からの振りも良い。両腕と足を上げ下げするカクカクとしたダンスは、まるで機械兵のよう。
「涅槃の境地へ」でガクガクと振動しながらひざまずいた彼らは、NAKATAの「神様Disco」の一言で動き出す。
なんとなく『天空の城ラピュタ』のロボット兵を連想した。
彼らは王の再臨に立ち会い、正統なる王の言葉で再起動する。
あるいは、「神様Disco」という特殊なコードによって、脳をハッキングされてしまったのかもしれない。そんなイメージを抱いてしまう。
そう考えると、ピロピロ音部分の首と肩を左右に揺らす振り付けや、腕と脚を激しく振るダンスも見え方が変わってくる。
あれ、どことなく動作確認っぽくないですか?
アクション系ゲームで初めて使うキャラの動きを確かめるために、とりあえず色んなボタンやスティックを小刻みに押してみるやつ。
もしかすると、彼らの脳をハッキングしたNAKATAが、スキマスたちを操作しながら同期を図っていたのかもしれない。
頭上でディスクを回し、左手で仏の印を結ぶ「あのポーズ」は、同期が完了して彼らの精神がNAKATAのDiscコレクションの1枚となったことを示しているよな気さえしてくる。
「パッとハッと」からのところは、緩急がついてて指先の動きが優雅でセクシーで、単純に好き。
中盤のNAKATAの語りでは、全員が彼のほうを向いてひざまずく。
聴衆の脳内に直接語りかけながら中央前方に進み出るNAKATAは、来迎という言葉でしか表現できない。もはや御神体をも超越している。
語りのあとのピロピロで、マリオネットのように両腕を吊り下げたあと、胸でヒットを打つところも大好き。
真の意図は神秘のヴェールに包まれているけど、あれは彼らが御神体に心臓を捧げた証だと勝手に思っている(ヤバいファンだな)。
しかもここからバッキバキの盆踊りにつながるの天才じゃない? ディスコサウンドと盆踊りの相性がサイコーなこと、一体どこで知ったんだ。
特にFISHBOYさんの盆踊りは神がかってるので一度は見るべき。円盤を待とう。
そしてやはり、ラストを「あのポーズ」で締めくくってくれるのがアツい。ライブ会場で一緒にやりたい。
みんなで御神体のDiscコレクションの1枚になろう。NAKATAにDJしてもらおうよ。
ここまで読んでくださった皆さん、そして「神様Disco会」の皆さん、本当にありがとうございました。