蟹を茹でる

カニ @uminosachi_uni の雑記ブログです。好きなもののこと何でも。

褒められたときどう対応していいか未だによくわからない

人は誰しも、他の人とは違う才能を持ち合わせている。……というのは私が尊敬している芸人さんの持論です。
日常のなかで色んな人に接してると、それを実感することが多い。相手が何気なく発揮する、ささやかだけど面白い才能やセンスを見つけると、褒めたいという気持ちがむくむく沸いてくる。それはもう発作的といっていいくらい、褒めたい。褒め称えたい。

褒めちぎられた相手はだいたいちょっとはにかむ。照れた顔で「いやいやいや、そんなことは……ありがとう」みたいな対応をしてくれる。
わかる。褒められたときってどうしていいかわからないよね。
自分も、ひとのいいところを見つけては褒めることが大好きなんだけど、褒められたときどうしていいかは、成人になった今でも全然わからない。


よく言うじゃない? 「褒められたら素直にありがとうって言ったほうがいい。そんなことないですよなんて謙遜するのは却って褒めてくれた相手に気を使わせる」とか。
わかる。確かに。

もし自分がほんとに上手いと思って褒めた絵を、「そんなそんな、こんな絵下手くそで落書きレベルですよ……」とか言われたら、申し訳ないけど「は?」ってなるわ。そんなことを自分に言われても困りますわ。
この神絵師、絵はめちゃくちゃ魅力的だけど褒められたときの対応は2点やな、絵は120点だけど。って思うわ。

ほんとに可愛い人を褒めて「そんなことないですよ! 私なんか全然です!」って言われるのもけっこう困る。
さらに上を目指してるの!? そんなにかわいいのに!? って驚くよね。でも「そんなにかわいいのにさらに上を目指してるの? すごい」って素直に言ったらさすがに嫌味に聞こえない?

あとなんか、自分の『足元にも及ばなさ』を実感してしまうというのもある。将棋初心者が自分よりずっと強い先輩に「先輩すごい! 全然勝てない!」って言ったら、「俺なんか奨励会では底辺やで」って返されたらへこむみたいな。
もしもかわいいの猛者を目指してたなら、よーしこの人を超えてかわいい奨励会に入り、先輩が獲れなかったかわいい四段を獲得してプロになってやる! と奮起するかもしれないけど、こっちはもう趣味で続けていけたらいいなくらいの覚悟しかないんだ。ごめん。


とはいえ自分が褒められたときに反射的に謙遜したくなる気持ちもけっこうわかる。

自分の才能って、
・自分では才能に気付いてない→褒められても「そんなことない」と思ってしまう
・得意だと自覚し、能力を伸ばそうとしている→さらに上を知っているので、褒められても「自分なんて大したことない」と思ってしまう
の二択じゃん基本。

たとえば東大生は世間から見れば頭いいけど、当人からすれば自分より頭の良い学生や教授をたくさん知ってる。だから彼らが「自分なんて大したことないですよ」というのは嫌味でも何でもなく、本心。


あと、褒められたときにどうしても頭をよぎるのが、
「これ社交辞令とちゃうか?」

自分が自信ないことを褒められたりすると、それは本気で思ってくれてるの? 心にもないことを無理に言わせてしまっていないだろうか? こんなに面白い人から「面白い」と褒めてもらうの恐れ多い。……みたいな気持ちが沸いてくるのは確かだ。
これを素直に(謙遜せずに)受け取ったら、「社交辞令なのになあ」って思われやしないかという不安は確かにある。

自分はファッションセンスのダサさがすごくて、それはもう逆に才能の域で本当に色合わせが変なのだけど、にもかかわらず相手の服装を褒めたときに褒め返されることがある。そういうときもうどうしていいかわからない。混乱。混沌。疾風怒濤。
容貌や服装を褒め返されるのが嫌で褒めることができないなんてこともある。

いや褒め返してくれるの自体は全然いいんだけど、どう考えてもよくはないものを無理やり褒め返すのはやめてほしい。もっと他にあるだろ、「この私のファッションセンスを見抜くとはお目が高い。才ある人物を見いだす審美眼はさすがにござる」とかあるだろ。



そこで、「人に褒められたときにどう対応したらいいか?」を、人をよく褒める側の立場から検討してみる。(ここから本題)

1.「そんなことないよ~私なんてだめですよ~」
これ自己肯定感低いとやりがちだけど、一番気を遣うやつ。謙遜ではあるんだけど、相手の褒め言葉を否定したうえで自信のなさを吐露してる。これやられるとさらに追加で褒めなくてはならず(そのまま黙ると「私なんてだめ」を肯定してることになるから)、しかし相手もさらに追加で否定してくる……という悪循環にはまることもある。

2.「僕なんて全然ですよ~もっとすごい人がいくらでも」
わかる。わかるよ。その向上心と謙虚さには好感がもてる。でも私は単に、私が良いと思ったものを褒めただけなんで、もっと上手い人がいると言われても知らん。あなたにはあなたの良さがあるのだ

3.「ありがとうございます!! 嬉しい!!」
そんなに喜んでくれるとこっちも嬉しい。無邪気で素直なところも素敵。
「お世辞で褒めたのに本気にしてやがるww」とか思ってるやつ? 燃やせ燃やせ!

4.「いえいえあなたもですよ!」
これ意外と困るんよね。褒められて反射的に/儀礼的に同じことを褒め返してくれてることがわかるので、あ……ありがとう……ってなる。思ってないことを言わせてしまった罪悪感。
まあでも世の中には自分が褒められ待ちするためだけに先制で全然的外れなことを(つまりは自分が褒められたいことを)褒めてくるやつがいるし、そういうやつはそこに触れてあげないと不機嫌になったりするから、防衛策として『反射的に褒め返す』行為をとる理由もわかる。

5.「ありがとう! でも私こそあなたの○○が好きです!」
これが前述のおうむ返し戦法と違うのは、ちゃんと相手のよいと思っているところを具体的に褒め返してるところ。人によって得意なことは違うから、互いの才能を見抜き合い、認め合うのがいいよね。『天才の証明』を読もう。

6.「ありがとう! あなたにそう言ってもらえるとすごく嬉しい。」
惚れそう。なんだろうな、この、「あなたにそう言ってもらえると」の、特別扱いされている感。褒められたこと自体も嬉しいけど、あなたに褒められたからこそ、すごく嬉しい。この感情の機微! 特に何かを褒め返されてるわけじゃないのに、認めてくれてる感がすごくある。
思ってもないことをお世辞で褒めたのにこう返されたら、罪悪感で3日くらい寝込めそう。


そんな感じです。
あと、どうしても褒め言葉を素直に受け取るのが落ち着かない、どうしても否定したくなる人にとってヒントになるといいんだけど、
おばちゃんの「そんなに褒めても何も出えへんで!(あめちゃんをくれる)」ってムーブ、かなり高度な気がする。
褒め言葉自体は否定してない、謙遜はしている、あめちゃんで感謝を示している、フリオチでひと笑いとっている。

褒め言葉をどうしても否定したくなる方は、鞄に常時あめちゃんを忍ばせてみてはどうでしょうか。褒められたら「いやいやほんとそんなことないんですよ! 私なんて全然! あ、よかったらあめちゃんいります?」と自然な流れであめちゃんを差し上げれば、照れて謙遜しちゃうけどほんとは喜んでることが伝わるかもしれませんね。
しかもそのあめちゃん、なんと疲れたときの糖分補給にも役立つんです!
そんな一石二鳥のあめちゃん、ぜひ鞄に入れておいてみてはいかがですか?


飴の宣伝になった。