人間、ピーマンを無限に食べようとしがち。
そんな人間の営為を見てみよう。
サイトによって微妙に調味料の量や種類が違うようだ。
ただし、すべてにシーチキン(ツナ)が入っているという共通点がある。ピーマンを無限に食べられるようにする黒魔術の触媒には、シーチキンが不可欠らしい。
ちなみに無限なすや、
無限キャベツもあるらしい。
いずれにしてもシーチキンが入っている。
こうなってくるともう無限ピーマンというより、無限シーチキンではないのか。
人間、ピーマンを無限に食べようとしがち。
そんな人間の営為を見てみよう。
サイトによって微妙に調味料の量や種類が違うようだ。
ただし、すべてにシーチキン(ツナ)が入っているという共通点がある。ピーマンを無限に食べられるようにする黒魔術の触媒には、シーチキンが不可欠らしい。
ちなみに無限なすや、
無限キャベツもあるらしい。
いずれにしてもシーチキンが入っている。
こうなってくるともう無限ピーマンというより、無限シーチキンではないのか。
まず人の顔と名前が覚えられない。
1度会っただけの相手の顔を必ず忘れている才能があると言っていい。
1年以上同じ部署で働いている先輩(席はかなり離れている)に、「すいません先輩、どちらの部署にいらっしゃいます?」って聞いてめちゃめちゃ失礼だったことがある。
叱られも発生した。かなり。
そんなやつだから、人の誕生日とか覚えられるはずがない。*1
母親の誕生日すら、未だに「◯月の下旬あたり」みたいなざっくりとした認識しかしていない。
ヒトの脳には人間の顔を認識するための専用のニューロンがあるらしく、つまりヒトは他のことよりも顔の違いには敏感にできているはずなのだ。
そして人の名前には、姓にも名にもそれぞれ由来があり、由緒だとか、「こんな子になってほしい」という願いが込められている。
そんな本来得意分野なはずの情報や、意味付けができる情報さえおぼつかないのだから、
単なる日付情報を覚えていられるはずがない。
そういえば年号記憶するのも苦手だった。苦手だったのに大学入試、世界史と日本史で受けてた。
そんな私だが、人の誕生日を記憶できる画期的な方法を見つけた。
いや正確に言うと、忘れても思い出せる若干ずるい方法を見つけた。
『有名人の誕生日と紐付けて覚える』である。
これなら保持しないといけない記憶が、「366パターンあるうちの一つの数字」から、「顔も名前もよく知ってるあの有名人」になる。
この時点でちょっと覚えやすくなる。
クリスマスが誕生日の人だと一発で覚えられる、あれだ。
しかも、有名人の誕生日というのは、友達や家族の誕生日と違って、ググれば出てくるのである!
ググれば、出てくるのである!!!
しかも、有名人の名前自体もうろ覚えでも、なんか似たような名前を打てれば正解をサジェストしてくれるし、
出演作品をひとつでも知っていれば、いくらでも探せるのである。
ありがとう検索エンジン。
そう思ったので、自分は他者に誕生日を聞かれたとき、日付に加えて「◯◯と誕生日一緒なんです」と言うようにしている。
聞いたけど忘れちゃったな……もっかい聞くの気まずい……という人が簡単に調べやすいように。
いや別に自分も忘れるタイプだから、何回聞いてもらってもいいんやけど。
ただこの方法、ひとつ問題がある。
だいたい他人は、どの有名人と誕生日が同じかなんてわざわざ言ってくれないのである。
そもそも同じ誕生日の人物に興味ないし、知らない人が多い。
まあ顔がそっくりとか名前が同じとかと違って、ただ単に生まれた日にちがたまたま同じだけだからな……。
解決策もあるにはある。
こちらが366パターンの有名人の誕生日を覚えていれば、その有名人と紐付けて覚えておける。
……なるほど完璧な作戦ですね。不可能だという点に目をつむればよ。
「ならば、その場で誕生日が同じ有名人をググればいいんでないか?」と思った人は、冷静になってください。じゃあスマホに友人の誕生日を登録したほうが早い。確実だし。
あくまでこの有名人誕生日大作戦は、いかにスマホやメモを取り出して話の流れを止めたりせず、自然にやり取りをする中で覚えられるか、に意味があるので……。
なので、もしも人の誕生日を覚えることが苦手なら、
あるいはそういうやつのために、ちょっとだけ労力をかけて協力してくれるなら。
自分と同じ誕生日の有名人の名前、知っといてあげてくれると嬉しい。
「私の誕生日、徳川家康と同じやねん。旧暦やけど」
「いいやん。俺、石原良純やで」
みたいな中身のない会話、案外に盛り上がって楽しいです。
覚えるための工夫つながり。
お笑いが好きだ。
といってもテレビでお笑い番組を見たり、ときどきよしもとの劇場に見に行ったり、DVDを買ったりするくらい。
YouTubeであらゆるお笑い芸人のネタを見漁るとかM-1は3回戦以降全ネタ見てるとかそういうレベルではない。
たぶんマニアからしたら大したことないと思う。
だが、お笑い芸人のDVDを30枚くらい持っていて、ときどき劇場に出向くだけでも
普段お笑いをテレビ番組以外で見ない人にとっては「お笑い好きなやつ」なのだ。
それ以外の趣味もそんなにないので、誰かに趣味を聞かれたときはお笑い好きだと答える。
まあだいたい「そうなんだ~」とか「うちの娘or息子も好きなんだよ~」みたいなゆるーい雰囲気で会話が進んでいくのだが、
個人的にちょっと鬼門な返しが「好きなお笑い芸人だれ?」である。
わたしはお笑いが好きである。
一番好きなお笑い芸人は、オリエンタルラジオである。
武勇伝でデビューしたときから好きで、地方在住の子どもだったから東京へは行けなかったけど、自分の地元に来たときはネタを見に行った。
チャラ男がブームになったときは友達にプッシュしまくって「おとなしそうなカニにそんな一面が……」と意外がられた。
就活のESでは彼らの著書をテーマにした。一応ちゃんと通った。
RADIOFISHのライブも見に行って、音楽ライブがこんなにも楽しいことなのかと生まれて初めて知った。
だから確信を持ってオリエンタルラジオだと答えるのだが、そうするとたいがいキョトンとされる。
一瞬「?」って顔になる。
いやわからなくもないですよ?
「カレー好きなんだ。どういうカレーが好きなの?」
「◯◯ってお店のカレーラーメンがめちゃくちゃ美味しいんですよ」
「? そうなんだ!」
この、一瞬の「?」。
まあふつうカレー好きって聞いたらインドやネパール風のスパイスカレーだと思うよな、次点で欧風カレーだよな。
カレーラーメンを挙げてくるとか誰も思わないよな。
……なんでや!! カレーラーメンかて美味しいやろ!!
まあふつうお笑い好きって聞いたら実力派漫才師だと思うよな、次点で個性派コント師だよな。
何度も手を変え品を変えバズってるエンターテイナー系コンビが出てくるとは誰も思わないよな。
……なんでや!! オリエンタルラジオ面白いやろ!! あんな生き様が面白いコンビなかなかおらんやろ!!
そうなることはわかっていても「オリラジです」って答えたくなるのがファンの性質なのですが、
どうにかもっと話がスムーズに進む答えはないものか……
最近だんだんわかってきたのだが、
そんなにお笑いに詳しくない(興味がない)人がわざわざ好きな芸人を聞いてくれる場合、だいたい2種類の意図のどっちかだ。
1つは、単にお笑い好きのこちらのために話題を広げようとしてくれてる。
もう1つは、家族や親しい友人にお笑い好きがいて、その話をしたい。
この場合、手堅い答えはM-1に何回か出てる実力派漫才師っぽい。
はっきり名前を出すなら、「和牛が好きです」と答えておくとほぼほぼ間違いない(個人の見解です)。
そんなにお笑いに興味ない人でも和牛なら名前は知ってるし、漫才しっかりやってるイメージを持ってる。
「M-1でならネタ見たことあるよ! 面白いよね!」って人も数多い。
しかも面白いことに、そういう人相手だと「うちの娘or息子or親友も和牛のファンなんだよ~」ってなる確率が異様に高い。
純粋にネタが面白くてファンが多いのが最大の要因だろう。
しかも、お笑いに詳しくない人にも好きって言いやすい知名度・実績。(ちょっと毒があるネタもあれど)暴力や大声に頼らない品のあるネタ。
両親や友人にファン宣言するには本当にぴったりの人たち……
するとどうなるか。
和牛が好きと言っておくと、その人のなかでわたしは「我が子or親友と好きなお笑い芸人が一緒の人」として記憶されるのだ。
ちょっと親しみを持たれる。
やったね!
はじめはそんな親近感目的の不純な動機でもいいので、よかったら和牛のネタを見てください。なんかかわいいし……
たぶんYouTubeにも動画はいっぱいありそうですが、自分はこのサブスクのご時世にDVD集めるタイプです。
和牛 漫才ライブ2017~全国ツアーの密着ドキュメントを添えて~ [DVD]
ライトな若いお笑いファンならわかってくれるかもしれないが、
世の中にはお笑い好きを品定めしてくる『通な』お笑いマニアが少数存在する。
彼らはこちらがどんなお笑い芸人が好きかによって、こちらの趣味のディープ度を勝手に判定してくださるのだ。
そしてそういう彼らは、「好きな芸人はオリラジです」と答えるお笑いファンをちょっと下に見てくる。
なんなの? バズってるからか? 斜に構えて大衆にウケるものを冷笑しているのか?
あと、彼らはなぜかNON STYLEが好きなファンのこともちょっと舐めている。これは本当に謎。
無冠でリズムネタのオリラジはまだしも、M-1チャンピオンになるほどの実力派漫才師なのに。
こうなると芸人自体で判断しているのではなく、「NON STYLEには女子高生のファンが多い=NON STYLEファンはお笑いにわか」みたいなファン層への偏見による判断な気もしてくる。
※もちろんそんな判定してこないお笑いファンのほうが多いです。
こういう品定めお笑いマニアへのベストな解答はおそらく
「あんまり詳しくはないんですけど、金属バットを最近はよく見てます」
ですね。これは確実にそうです。令和元年5月の時点では少なくともそうです。
まずお笑いマニアには金属バットが人気。なおかつマニア好みのネタの雰囲気があって、そこに目をつけてるだけで彼らはあなたに『何か』を感じ取る。
しかも最近地上波にちょっとずつ出始めてるくらいで知名度がちょうどいい。
これが千鳥だと知名度がありすぎて、「最近人気があるから言ってるだけの、バラエティ番組でしか観てないにわか」と思われる危険もありうるので。いろはに千鳥初回から全部見てるんですよ~とかなら別です。
重要なのが「あんまり詳しくないですけど」と「最近はよく見てます」。
これでネタを網羅してないことへの予防線を張れるし、しかもあえて下手に出ることでマニアのプライドをくすぐる。
大ファンです! と主張されると張り合いたくなるけれど、「最近興味があって……」と言われると沼に引き込みたくなるのが人間の性。
しかも、自分の大好きなことを人に教えてあげられるのってすごい快感。
人は自分の話をするときと、大好きなものの話をするときに脳が興奮するらしい。あまつさえそれを上の立場で教えることを許されるなんてもう、ドーパミンが止まらない。たぶん。てきとうに言っているけど……
お笑いマニアの先輩を気分よくする必要があるときには、先輩に口火を切らせる導入としてこの方法を使ってみたいと思う。
ちなみに、「自称お笑い通の彼らにそういう話をされるのは邪魔くさい、一方的に語らせたくない」というときには、ぜひ言ってほしい。
「武勇伝の頃からずっとオリエンタルラジオが好きなんです」と。
あなたとは好みの方向性が違いますよと伝えつつ、でも「今SNSでバズってる若手芸人をただ言ってるわけではなく、本当にオリラジのファン」であることもわかってもらえる。
上から目線で説教されるほどは舐められず、かといって同族だと認定されるほどでもない。
つまりこれは、「サンは森で、わたしはたたら場で暮らそう」というやつです。
もちろんそんな判定などしないファンのほうが多いでしょうし、しない人たちとならオリラジの話もけっこう盛り上がる気がします。
何しろ、彼らは常に動き続けていて、話題に事欠かないので。
まず一旦騙されたと思ってMVを最後まで見てほしい。
たぶん、見終わったときには人生で史上3番目くらいにきょとんとした顔になっていると思う。
とりあえず、あんなに狂喜しながらカレーをかき食らう子どもが見られる映像って貴重だと思うので(私は他に例を知らない)、それだけでも見てやってください。
えっどういうこと……? 地面にカレーの具材が? 誰が置いたの?
これはあれか、カレーマニアをおびき寄せるための罠とかそういう……?
少年が頭を押さえて苦しんでいる!
何かを思い出しそうなのか? それとも、カレーの誘惑に打ち勝とうとしているのか?
カレーライスボーイの表情ヤバすぎる、完全にカレーが非合法のものにしか見えないくらい恍惚としている
孤独な少年が背中を叩かれて振り返る。
「振り返ったら仲間たちが並んで笑っていて、自分がひとりではなかったことを知る」
っていうならミュージックビデオあるあるですけど、
いつの間にかトマトのまわりにプチトマトが増えてる……!
どういうこと!? プチトマトが仲間なの?
あれもしかしてトマトたちが子どもを生んだ的なことなの??
そんでジュースにしちゃうの!?
MVのストーリーが謎すぎて、少年のダンスのうまさと格好良い歌詞が全然入ってこない
まあ百聞は一見に如かず。見てください
まあこれだけだったら「シュールなMV作ったんだな」って思うのですが、このMVのディレクターを担当したスキルマスター・FISHBOYさんがこんなコメントを。
思えばこういう生き方をしてきた気がします。
— fishboy (@fishboy_nakada) 2019年4月9日
でも、この生き方が好きです。
radiofish / No.55 【MV】https://t.co/Exa9wopmnJ https://t.co/Exa9wopmnJ
どういう生き方???
しかし、あのストイックで熱心で友達1億人のFISHBOYさんが言うからには、このMVには何か深ーいテーマが隠されている気がしてきた。
そこでなんとかしてこのMVから一貫したテーマを読み取れないかと、解釈を試みました。
最初は、少年の「カレーを拒んでトマトを貫く」*1選択が描かれているものとみて。
カレー=良い大学出て良い会社に入って家庭を築くような、手堅くて安泰な人生の象徴
トマト=ダンサーとしての、みずみずしいが主流からは外れた人生の象徴
こんな感じで食べ物を人生の選択に見立てて、
「様々な誘惑や普通の人生の可能性を断ち切り、ストイックに一意専心、ダンサーとしての道を歩んできた。そうするうちにダンスの豊かさを知り、自分の人生を味わって悪くないと思えた」
そんな感じのメッセージが込められてるのかなー、と初めは思った。
この解釈も素敵だし、この方向性で私よりもっと素敵な考察をしている人もたくさんいる。
たとえばこの呟き。めちゃめちゃエモい。
器用に次々とチャンスを拾える人と、不器用にひとつのものしか追えない人。
— かおるこ (@1201kaoruko) 2019年4月9日
チャンスを形ある幸運に変えて味わう人を前に、焦れて後悔しても、ひとつのものを追い続けることで、その多様性を見つけ、味わうことができる。55番目の個性。
(って思って切なくてまた泣いた😭)https://t.co/DZMyjSaKXB
ただ「少年がトマトだけを選んだ」と考えると、ちょっとプチトマト大発生と最後のトマトジュースが引っ掛かった。
これはあくまで個人的感覚だけど、「少年が自分で選びとる」それまでのシーンと、ニュアンスがちょっとずれてる気がしたのだ。
最初のふたつのトマトは少年が自分で拾い上げて選びとっている。
一方でたくさんのプチトマトたちは、背中を叩かれて振り向くといつの間にか増えている。
誰が置いたのか、どこから来たのかは謎に包まれている。
また、せっかく得たトマトたちをそのまま味わうのではなく、粉砕してジュースにして飲むという表現は、少し遠回しな感じがした。
わざわざジュースにするということは、そこにメタファーとしての意味があるのでは?
そして考えてみて、たどり着いた。
あのMVを「少年がカレーよりトマトを選んだ」と考えるから引っ掛かるけど、
「トマトがカレーの仲間に入るより孤独を選んだ」と解釈すると、色々なことが(自分の中で)きれいにつながることに……!
MVの主人公、トマトだ……!
そうするとカレーは「ふつうの社会」の象徴だ。
会社があり近所付き合いがあり、そのしくみに組み込まれて安定して生きていけるような社会。
そこでは玉ねぎやじゃがいもや豚肉、にんじんたちが活躍している。
トマトには、そんなカレーの隠し味として、「ふつうの社会」の目立たない一員として生きていく道もあった。
しかしトマトはその誘惑を拒み、孤独に耐え、社会に組み込まれずに自分らしく生きることを決めた。
ふつうの社会の安定した生活を享受し、見せびらかしてくる人間たちになびきもせず。
そんなトマトが孤独に踊っていたとき、目の前にもうひとつのトマトが現れる。
トマトは信頼できる相棒を見つけて、トマトらしく生きていく自信を得る。
ときにはふたり歩道橋に並んで眼下の街を眺めながら、自分たちの生き方が正しいのか迷ったこともあった。
それでも一心にダンスを突き詰めてきた。
肩を叩かれてダンスをとめ、ふと周りを見渡してみると、そこにはたくさんのプチトマトがいた。
いつもダンスに真剣なトマトを慕い、後輩として生徒として、あるいはファンとしてついてきてくれた者たちだ。
トマトとプチトマトたちは、力を合わせて一丸となり、トマトジュースとなる。
そこにはカレーに負けない味わいと栄養があり、その渇きを満たしてくれた……
こんな感じで解釈していくと、「ダンスを極めていたらいつの間にかプチトマトが大発生していた」というシチュエーションもスッと入ってくるし(本当か?)、
最後のトマトジュースも、重要な意味を持ってくる。
あれは、料理としてのカレーと対比される、「完成品」としてのトマトジュースだと思う。
トマトジュースは、ほとんどトマトだけでつくることができる。
一方で、トマトひとつだけでは、絶対にあの量には届かない。
たくさんのトマトたちが力を合わせて初めてできる調理品が、トマトジュースなのだ。
志を同じくするたくさんの仲間たちが、一体化してひとつのものを作り上げる。
ひとりひとりの境目はなく溶け合っているが、トマトとしての良さは隠れることも紛れることもなく、はっきりと主張している。
きっとRADIOFISHにとってはこの『No.55』が、そしてこのMVが、トマトジュースなのであろう。
前回http://bloodandsugar.hatenablog.com/entry/2019/02/11/155342
のつづき。この記事だけでも読めます
「3人が順番に亡くなって、そのたびに相続税払ってたら遺産なくなるんちゃう?」みたいなことを言っていましたが、これにはちゃんと対策がありました。
それが、相次相続控除です。
簡単に言うと、誰かが亡くなって、その遺産を継いだ人が10年以内に亡くなった場合、相続税の控除(税が安くなる)が受けられるよ! ということです。
おじいちゃんが亡くなり、おばあちゃんと子供たちが遺産相続
→おばあちゃんもその翌年に亡くなり、子供たちがその遺産を相続
例えばこういう例の場合、今回のおばあちゃんの遺産のうち、『おばあちゃんがおじいちゃんから相続したぶんの遺産』には実質、相続税がかからないことになる。
その部分はおじいちゃんから相続するときにもう税金払ってるから、二重取りするとかわいそうなので今回は取らない、みたいな感じ。
実際にはもっと計算は複雑で、前回の相続税額なども絡んできます。国税庁のサイトで詳しい説明が見られるので貼っておきます
No.4168 相次相続控除|国税庁
ミステリでいえば、たぶん殺される順番で税額の合計がそんなに変わることはなさそうです……
さすが国税庁、二重取りを防ぐ『相次相続控除』という救済策を用意しながらも、決して税金逃れには利用できなさそうな設計になっている……
考えてみればそうですよね、立て続けに家族が亡くなったとき、何度も税金とられたらあまりにもかわいそうだ。
事故で夫婦両方亡くなったなど、どっちが先に亡くなったのか判別できない場合もありうる。それで税額が変わるようでは困る。
しかも亡くなる順番で合計の税額変わる仕組みだと、お金目当ての殺人事件とか起こりかねないし……
というわけで、殺人の順番によって税金対策するミステリのアイデアは実現が無理そうです。
日本とは税制が違う、架空の国でのできごとにしてしまう、という抜け道もなくはないですが
ただし、この相次相続控除、10年以内となっていますが、控除額は毎年1割ずつ減っていきます。
つまり
「犯人は必ず今日、あなたを狙いに来る! なぜなら明日はお父さまの命日……税金の控除額が1割も減ってしまうからです!」
みたいな展開を入れることはできるな。
1年以内に家族全員を亡き者にしようとする犯人。
なぜなら税額を抑えたいから。
だいぶヤバいやつだな……。
税額は順番により変わらないとはいえ、相続できる遺産の合計には、順番が絡んできそうです。
例えば、遺産100億のおじいちゃん→借金20億の四男
の順番だと、
四男が相続したおじいちゃんの遺産は、借金返済のために使われてなくなってしまいます。
犯人的には、先に四男を手にかけ、彼の借金を相続放棄してからおじいちゃんを狙ったほうが、最終的な遺産は多くなりそう。
同じような理由で、金遣いの荒そうな親族も早めに狙われる。なぜなら相続した遺産を使い込んで減らしそうだから。
大財閥の一族の皆さん、遺産争いミステリでなるべく最後まで生き残りたいときは、無借金経営と堅実な金回りをアピールしましょう。
犯人に後回しにされるので時間稼ぎができますし、
警察から「金目当てでお前がやったんだろ!」と疑いをかけられることも防げます。
逆にいうと、めちゃくちゃ借金あって金遣い荒いのに最後まで生き残ってるやつ、怪しいかもしれないです。
あと気をつけないといけないのは、子供がいる人です。
法的に遺産を相続する権利がある人のことを法定相続人というのですが、
誰が法定相続人になるかと、どのくらいの割合を相続する権利があるかは以下のように決まります
配偶者が半分
子供たちが半分を人数で分ける
配偶者が2/3
父母等が1/3を人数で分ける
配偶者が3/4
兄弟姉妹が1/4を人数で分ける
また、代襲相続という制度も重要。
これは、相続人となるべき人が既に亡くなっていたら、その子供が代わりに相続できる仕組み。
例えばおじいちゃんが亡くなったとき、息子が既に故人のときは、さらにその子供(つまりおじいちゃんの孫)が父の代わりに遺産を相続できるということです。
この代襲相続は子供への一方通行なので、「法定相続人になるはずの娘が既に亡くなっていた」という場合、その両親が娘の代わりに相続を受けることはできません。
このシステムは、ミステリにおける殺人事件の順番にかなり関わってきます。
例えば、次男夫婦とその子供が狙われた場合、
次男→妻→子供
の順番で犠牲になったとすると、
次男の遺産を妻と子が相続→妻の遺産を子が相続→子の遺産を法定相続人が相続
の流れになります。
このとき法定相続人になるのは子供の祖父母。
もし「父方の大富豪一族の祖父母はもう死んでるが、母方の祖父母は健在」だと、この遺産は母方の祖父母が相続することになります。
例えば犯人が長男なら、自分が次男の遺産を継げないこの状況は防ぎたい。
犯人が金の亡者なら、「次男の財産を全て自分のものとするために、その配偶者と子供を先に手にかける」という選択に出かねない。
遺産相続争いミステリ、怖すぎるな。金の計算のために罪のない子供を平気で……
逆に、その可能性に気づいた次男が、せめて妻と子の命だけでも守るために行動することもありうるかも。
「見ろ、俺は遺言を書いた。『財産は全て兄弟たちに遺贈する』……これで妻や娘を狙う理由はないだろう。犯人がこの中にいるなら、お願いだから彼女たちだけは助けてくれ……」
そういう展開を入れられるかも。
でも相続対策で殺人の順番を決めるサイコが犯人だと、「でも遺留分請求されたら困るじゃん」つって妻子殺してしまうような気もするな……つらい。
遺留分は、法定相続人に認められています。
遺留分を説明するときによくあるたとえは、「遺言書で愛人に全ての遺産をあげると書いてた」ような場合。
この場合でも、法定相続人が遺留分を訴えれば、遺産全体の1/2*1については、法定相続人たちが相続できます。
つまり、遺産の半分はほんとに愛人に持っていかれますが、残り半分は法定相続人の配偶者や子供たちで分けることができます。
遺留分は、法定相続人がきちんと訴えないと適用されないので、誰も何も文句を言わなければ、遺言書どおり愛人が遺産を全部もらえます。
先ほどの次男の遺言の件でも同じです。
もしも妻や娘が遺留分を訴えなければ、次男の遺産は本当に兄弟姉妹に渡ります。
一方で遺産分を訴えれば、遺言があっても次男の遺産の半分は妻と娘がもらう権利があります。
サイコ犯人の魔の手から妻と娘を守るためには、遺言を書くのはもちろん、「妻と娘は遺留分を請求しないだろう」と犯人に思わせる必要があります。
もちろん、当たり前に当然のことですが、被相続人を殺害して有罪となった人間には、遺産相続の権利はありません。
殺した相手の遺産を相続できたらもうメチャクチャですからね。
同様に、「同順位以上の相続人を殺した」場合も相続権を失います。次男の遺産を狙ってその妻や娘を殺した場合も、もちろん相続欠格者になります。
他に、被相続人が殺されたと知っても隠そうとしたり、被相続人に無理やり遺言を書かせたり、遺言を隠したり処分した場合も、相続欠格者になります。
絶対に、遺言を勝手に処分したりしないでください。
先ほどの、サイコ犯人から妻と娘を守るために、この相続欠格者のルールは逆手にとれるかもしれないな。
次男の書いた遺言を、一族の見ている前で妻と娘に燃やしてもらえば、妻と娘は相続権がなくなり、犯人に狙われる理由もなくなる。
たぶん……
以上です。
これは素人が国税庁のサイト等を見ながらまとめたものなので、
本当に相続のことで困りごとがあるときは、プロに相談してください。
あと、相続ミステリを書くためにこれを使いたい場合はご自由に。作品を教えてくださると、よけいに嬉しいですが。
時々ありません?
大富豪の一族が遺産相続争いの果て、ひとりずつ犠牲になっていって、「犯人はこの中にいる……!」ってなるタイプのミステリ。
パッと思い付く有名なのでいうと、『犬神家の一族』とか。『うみねこのなく頃に』とか。
あれ、相続税どうなってるんでしょうね?
だいたいああいうので話題になる一族、資産のたんまりある大富豪が多いし。*1
相続税の税率って、けっこう高いイメージがあるし。
例えば、資産100億円くらい持ってる大富豪のおじいさんが死ぬとするやん?
この遺産を妻と息子3人で分けるとき、だいたい半分くらい相続税で持っていかれるやん?
次に大富豪の妻が殺されて、妻が相続した遺産を息子3人で分けるときも、やっぱり半分くらい相続税で持っていかれそうやん?
今度は優しかった三男(独身で子供はいない)が凶刃に倒れ、その遺産を兄弟2人で分けた結果もちろん相続税が発生しそうやん?
さらに次男夫妻が犠牲になり、その子供たちに遺産が受け継がれ……
もうこの頃にはおじいさんの遺産、2割くらいになってるのとちゃうか?
一族連続殺人ミステリの犯人、いったいどうやって税金対策してるんでしょう。
だってああいうミステリってだいたい遺産目当てで犯行におよぶわけで、だとしたらちょっとでも多く財産を受けとりたいはず。
ましてや肉親を手にかけてまでやるのだから、相当お金がほしいはず。
ちょっとでも多く財産を受けとれる=ちょっとでも相続税を減らせる方法を、必死に考えたりしてるのではないか?
「財産の多い親父から殺したんじゃ、他のやつを殺したときに相続税を二重に取られる。まずは借金がある三男を排除して俺の取り分を増やそう」
「次男夫妻を先にやったんじゃ、その財産は子供たちに行っちまう。罪のない子供に手をかけるしかない」
みたいなこと、けっこう真剣に考えてるんじゃないか?
『よくわかる!かんたんな相続争い』みたいな本読みながら。
むしろ、そういうのをテーマにした、相続税ミステリがあってもいいんじゃないでしょうか。
「財産の少ないやつから殺されている! これはもしや……税金対策!」みたいな。
あったら私は読みたい。
そういうジャンル知ってたらぜったいに教えてください。コメントお待ちしています。
あと、このことについてちょっと国税庁のサイトとか調べたところ、色々なルールや特例があって面白そうだったので、
そのへんをまとめてまた書きたいと思います。
キーワードは「法定相続人」と「相次相続控除」です。
できれば、相続税ミステリを書きたい人(書いてくれる人)が資料として使える、わかりやすいものにしたい。
書きました。
*1:現実にはむしろ財産が少ない場合に相続争いは起こりやすいそうです
FAUSTのファンの方と、FAUSTをちょっとでも気にしてくれる方へ捧ぐ
1月21日のライブの感想を今になって書くという。
RADIOFISHの弟分、5人組のダンスボーカルグループ。
公式サイトにはプロフィールもありますし、彼らが出るYouTubeチャンネルへのリンクもあります。
https://www.nakataatsuhiko.com/faust
そんな彼らが初めて実施した単独ライブ*1が、
1月21日に下北沢で行われた『BRAINWASH』である。
ちなみに、ライブについてはファン有志の方々が、ライブレポをまとめて上げてくださっている。
FAUST初ワンマンライブ「BRAINWASH」感想レポート │ NKT記者部ブログ
大変丁寧でわかりやすくまとまっていて、
それでいてあの会場の熱量と空気感を保った、
とても素敵なレポートなので、ぜひ見てもらいたい。
ライブ動画へのリンクもあるのでそちらもぜひ!
さて、最初は自分もライブで見たことや、感じたことを実況する記事を書こうと思ったのですが、
先述の有志(NKT記者部さん)のレポートと同じ土俵に上れる気がしない。
何しろエピソード記憶が得意ではなく、そのうえ歌とダンスへの造詣が深くないものだから、
「ダンスがとにかくすごい格好よかった」「振り付けがクールだった」
「リーダーのDAIKIさん歌上手かった……」「最年少のしりゅぽん(SHIRYU)かわいい……」「JESSYくん悪魔教の神父かよ最高の衣装だな」「NAOTOくんのダイナミックなダンスやっぱり推せるな」
くらいしか覚えていない。
これではただファンが熱暴走しているだけである。
(そういう熱意に満ちあふれたブログもまた、その人にしか出せないきらめきがあり、価値があるものだが)
なので、自分はライブの内容から少し外れて、考えたことを書こうと思う。
LDHとは、EXILEやE-girls、三代目 J Soul Brothersなどが所属する芸能事務所である。
2017年までは、HIROさんが代表取締役社長を務めていた。
実は私、お恥ずかしいことにJ-POPに詳しくなく、EXILEトライブのことを全然わかっていなかった。
ギリ、三代目 J Soul Brothersの曲はドラマで何度も聞いたことがある、くらいの理解度。
「EXILEトライブって、めちゃめちゃいるな。EXILEトライブになりたい若手ダンサーはさらにその100倍くらいいるんだろうな」
という、漠然とした認識をしていた。
そんななかで、なんとなく感じている疑問があった。
「どんどん新しいグループが増えていって、EXILEファンは覚えられるんだろうか?」
そして、
「EXILEファンはきっと、若さよりもダンサーとボーカルの確かな技術とカリスマ性を求めているのでは? 若いグループが次々出てくる状況をどう捉えているんだろう?」
などと、余計な心配をしていた。
けれど今回、RADIOFISHの弟分であるFAUSTのパフォーマンスを見て、それらの疑問が解けた。
まずひとつめの疑問への答え。
新たなグループが出てきても、愛と興味があれば覚えられる。
考えてみれば当然ですね。人間興味があれば電車の音だけで車両の種類までわかるようになるのだ。
興味さえあれば、たくさんメンバーがいてもぐんぐん覚えていける。
しかも、FAUSTを追ってみてわかったのだけど、この、「新たに好きになったグループのメンバーを覚えていく」という過程、かなり楽しい。
最初はメンバーの顔と名前さえあやふやだった*2。
それが、YouTubeの紹介動画で少しずつ彼らの性格を知り、
公式MVと配信音源で彼らの歌声と容姿を覚え、
RADIOFISHライブのオープニングアクトでダンスの迫力と、それぞれの躍りの個性を目撃し、
MCでのRADIOFISHとの絡みで、彼らのキャラクターや、お兄さんたちとの関係性をつかみ、
そうして少しずつ、彼らの全体像が見えてきた。
そうして彼らを知るたびに、どんどんFAUSTのことが好きになっていった。
「覚えられるかな?」じゃねえ、覚えるんだよ!
その覚える過程こそが、彼らをわかっていく過程こそが楽しくて、他にはない宝物なんだよ!
その喜びを味わわせてくれるFAUSTは、そしてRADIOFISHは凄いって思ったし、
もちろんそれをやり続けて、弟分を人気グループにし続けているLDHももっと凄い。
いやー、すごいなLDH。
そして、ふたつめの疑問。
「EXILEファンは、若さより技術やカリスマ性を求めているのでは? 若いグループが出てくることをどう思っているのか?」ということ。
しかしこの問い自体、「若さ」と「技術」を対立するものとして扱ってしまっている。
若くても、これから技術とカリスマ性のあるグループに育っていく可能性は十分にあるのに。
しかも、重大な問題点に気づいた。
たぶんこの問いは、弟分グループのターゲット層を、「年を重ねた兄貴分グループから、若い弟分グループに乗り換えるミーハーなファン」だと、勝手に想定しているから出てくる問いなのではないか?
でもそれは、不当なファン像だし、弟分グループのファンにとって失礼なのではないか? と。
実際には弟分グループのファンは、若いグループに「乗り換え」たりはしないと思う。
ファンが弟分を好きになるのは、彼らがただ「若い」からではないと思う。
弟分を好きになったからと言って、お兄さんたちへの愛や信頼がなくなるわけじゃない。
ファンが弟分を好きになるのは、お兄さんたちが好きだからこそだ。
RADIOFISHが大好きだからこそ、FAUSTのことを追ってみようと思った。
GENERATIONSを追うファンも、きっかけはEXILEが好きだからとか、
あるいは「LDHが売り出してるグループならきっと魅力的だろう」という信頼とか、そういう気持ちがあったんじゃないか。
いわゆる、「生産者の顔が見える野菜」みたいなものである。
「農家の田島さんが作ったフェンネル? フェンネル知らないけど、あの田島さんが丹精込めて作った野菜なら間違いない! よし、買って食べてみよう!
……おいしい!!! 好き!!!」
みたいなことである。
確立された技術とカリスマ性を持つお兄さんたちが推薦し、責任を持って選び、育てている弟分だからこそ、好きなのだ。
しかも、「はるか高みにいるお兄さんたちに育てられ、必死で食らいついて成長していく弟分たち」というこの構図がもう最高の極み。
FAUSTのダンスを見つめながら、「この最高にクールなダンス、へい様*3が振り付けしたんだ! 格好いい……」と、うっとりしたり、
へい様の難しい振り付けを必死で覚えた結果、夢にもへい様が出てきたKAITOの真面目すぎるエピソードを聞いたり、
FAUSTの1stライブを最後方で静かに見守っていた、へい様とSHiNくんの姿を見つけたり。
そういう、兄貴分との関係性が垣間見える瞬間が、私の思い出のなかできらきらと輝いている。
FAUSTは、そんな尊敬するお兄さんたちの期待に応えるように、すさまじい速度で成長していっている。
ライブでは、オープニングとラストの曲に、同じ曲『BRAINWASH』を披露したのだけど、
人はライブ中にここまで成長できるのか! 自分たちだけで舞台に立つ経験を踏むと、能力と個性がここまで開花するのか!
と驚くくらいに、ラストのパフォーマンスは迫力があって、のびやかで、華やかだった。
両グループのメンバー同士の関係性が見られるうえに、FAUSTのめくるめく成長が目撃できるうえに、
「若手を育てるお兄さんとしての、頼りになるスキマス」の一面までもが見られるのだ。
これが最高でなくて、一体何が最高だというのだ。
この、「若手をプロデュースすることで、成長過程をファンとともに見守ることができる」
「若手を育てることにより、お兄さんグループの新たな一面をもファンに見せることができる」
という価値をずっと前から最大限に活かしてたLDH、本当に凄すぎるなと思った。
すでに完成された兄貴分グループとともに、発展過程の弟分の成長を見届けることができるのだ。
グループのなかでは末っ子感のある、可愛がられてたメンバーでも、弟分に接するときは、途端に頼りになるお兄さんなのだ……美しいね……。
最後にもっかいおすすめのライブレポ貼るのでぜひ読んでほしい。
FAUST初ワンマンライブ「BRAINWASH」感想レポート │ NKT記者部ブログ
そしてライブ動画。
照明落とす演出なのにKAITOくんが蛍光イエローの服着てる(そして案の定めちゃくちゃ目を引く)のはご愛嬌。
最初ちょっと光り具合に笑っちゃうんだけど、それを差し引いても十分格好いいです。