スピッツ「ロビンソン」の国は国家の要件を満たすか
スピッツ「ロビンソン」にはこんな歌詞がある。
誰も触われない 二人だけの国
君の手を離さぬように
大きな力で 空に浮かべたら
ルララ 宇宙の風に乗る
そう、二人だけの国である。
それは本当に国だと言えるのだろうか。
考えてみた。
国家の4要件
国家の資格要件 - Wikipedia
モンテビデオ条約では、国家の成立要件として次の4要素が挙げられている。
- 国民
- 領土
- 政府
- 主権
国民
国家が成立するには、国民が存在しなくてはならない。この要件は満たされていると考えてよいだろう。「二人だけ」ではあるが、国民の存在が歌われている。
主権
国家は他国から独立して、主権を行使できる状態でなくてはならない。傀儡国家は独立した国とは認められない。
こちらも歌詞に「誰も触われない」とあるので、他国の支配を受けず国家管轄権を行使できるものと見て良さそうである。
政府
ある地域を国家と認めるためには、それを実効的に統治する政府が必要である。政府の存在は歌詞に明示されていない。対外的には自立しているようだが、対内的にはどうか。
歌詞には「大きな力で」とあり、国内を実効支配する能力があると読めなくもない。かなり強引な解釈ではあるが。
領土
領土の存在は国家の最も本質的な要件である。
これも歌詞には明示されていない。だが、「空に浮かべたら」とあるので、二人だけの国には何らかの浮かべられる実体が存在しそうである。
「宇宙の風に乗る」というフレーズより、この実体は宇宙空間に存在すると推測できる。
しかし、宇宙条約第2条において、宇宙空間に対してはいずれの国家も領有権を主張することはできないと定められている。
よって、これを領土と認めれば二人だけの国は国家の要件を満たすが、二人だけの国が国家だとすれば宇宙の領有権は主張できず領土を持てない。パラドックスである。
まあ少なくとも国家承認は絶対されないだろう。