蟹を茹でる

カニ @uminosachi_uni の雑記ブログです。好きなもののこと何でも。

死ぬこと以外かすり傷だが、人間はかすり傷でも死ねる

カニです。
ブログ、書こう書こうと思うと書けないことに気付きました。
その場のノリで考えなしに書き始めたほうが、結局最後まで書ききれるような気がします。



「死ぬこと以外かすり傷」って言葉、いいことばですね。
生きてさえいれば、どんな失敗も事故もかすり傷にずない、と言い切るはちゃめちゃな豪胆さ。
世紀末覇者とかが言いそう。

死ぬこと以外かすり傷
同タイトルのこの本も、めちゃくちゃに売れてるそうです(まだ読んでない)。作者は世紀末覇者ではなく、凄腕編集者だそうですが……





ほんと、いいことばですよね。「死ぬこと以外かすり傷」。



でも人間はかすり傷でも死ねる。
破傷風とか。



ていうか「こんなのかすり傷だぜ!」つって消毒も手当てもせずにほっとくのは、フィクションだったら死亡フラグである。
だいたいそういう強がりのキャラ、傷口が化膿したり毒でやられて死ぬ。または、ゾンビに噛まれたのを無理して隠し、最終的に突然仲間に襲いかかってグループを壊滅させる。



かすり傷を舐めてはいけない。
「死ぬこと以外かすり傷」でも、受けた傷を気にしちゃいけないルールはない。かすり傷ひとつでギャーギャー痛がったり、わんわん泣きわめいたりしてもよいのだ。だって実際けっこう痛いし、かすり傷。

わあわあ痛がって、きちんと綺麗な水でよく洗い流して、絆創膏だか傷パワーパッドだか貼って、患部をあんまり動かしすぎないようにして、守ってやらねばならない。
かすり傷でも、患部に机の角とかが当たったらめちゃくちゃに痛いのである。

よく寝て、よく食べ、よく笑い、免疫力を上げるのもいいかもしれない。
意外と「痛いの痛いの飛んでゆけ」と唱えてもらって、優しくさすってもらうのもいいかもしれない。不安な気持ちが和らぐと、間接的に痛みも和らぐ。



「かすり傷を負いそうだ」と事前にわかるなら、ちょっと暑いけど厚手の長袖を着ていくのも手である。草木生い茂る森や山、危険な作業現場、不衛生な場所に出向く場合には必須だ。
状況に合わせて対策しておかないと、かすり傷でもびっくりするほどかぶれたり腫れたりする。傷がかぶれたときの痒みと痛みの板挟みといったらないし、傷が腫れてきたときの不安感たるや。



……等々、おどかすことを言ったけど、過剰に恐れる必要もないかもしれない。かすり傷だし。

事前に傷つくことを想定して準備すること。
むやみに強がらないで素直に痛がること。
傷ついた自分をケアすること。
かすり傷がなかなか治らなかったり、腫れてきたりした時は医者にかかること。



そのくらいのことさえ気をつけていれば、傷つくことはそんなに恐れることではないのかもしれない。
気軽な気持ちで、いろいろなことに挑戦してもいいかもしれない。
きちんと対処すれば、傷口は膿まずに、傷跡も残らずに治りそうだし。



これを精神的なダメージに強引に当てはめてもいい。

傷つく覚悟をして、慰めてくれる人や物事を用意しておくこと。
強がらず、意外に傷ついてると素直に認めること。感情を殺さず、受け止め、存分に悲しむこと。
精神的な傷を癒すこと。それは頑張った自分へのご褒美でも、ヒトカラでも、日記を書くことでも何でも。
傷が深くて手に負えないなら、専門家に相談すること。
……その時はふしぎな民間資格ではなく、臨床心理士などを選んだほうがいいと思います*1



社会的なダメージに強引に当てはめてみたらどうだろう。

普段から同じ悩みを持つ人と連携したり、真の退社時間を自分のアプリでも記録したり。
不正義や不平等の存在を、うやむやにせずはっきり口にしたり。
セーフティネットとなる制度を活用したり、シェルターに避難したり。
弁護士に相談したり。

そういう風にたとえられるだろうか。
一度身体的なことに引き寄せて考えてみると、対策を考えやすい気がします。





「死ぬこと以外かすり傷」が言いたいのは、たぶん「傷つくことを恐れるな」ということだと思う。

それは皮肉抜きに面白い考え方だ。
いかに傷つかないようにするか、失敗しないかを考えがちな人類も多いと思う。それを発想の転換で、傷つくことは大したことない、失敗を恐れずに挑戦せよ、と唱えている。



だが、傷つくことを避けないからといって、傷を舐めくさる必要はない。
「こんなのかすり傷だからほんと大したことないんで」と、無理に平気なふりをする必要はない。

かすり傷ひとつで大げさなと思われるくらい泣いたほうが、あとからケロッとできる。そういえば、小さい頃はそうしていた気がする。
ある意味泣くのも対処法かもしれない。



失敗を恐れがちな人類(そしてカニ)に大事なのは、傷つきを徹底的に避ける生き方や、傷つきを過小評価する蛮勇よりも、
「傷ついたときにどう対処すれば感染症を起こさず、傷口がきれいに治るか」という知識や経験なのかもしれない。

かすり傷を甘く見てはいけないが、適切に対処すれば恐れる必要はない。たぶん。

*1:臨床心理士は臨床心理学系の大学院出ないと取れない資格なので、金積んで講習受ければいいやつとは信頼度がまるで違うと思う