蟹を茹でる

カニ(@uminosachi_uni)のブログです

オリラジ藤森ファンがヒプマイイケブクロのドラマCDも聴いた感想

カニです。
オリラジファンのわたくし、藤森慎吾が作詞を担当した、伊弉冉一二三(いざなみひふみ)くんのキャラソンシャンパンゴールド』を聴きまして。そこから楽曲のゴージャスな明るさ、闘争心、突然始まるシャンパンコールに心を掴まれまして。さらには一二三くんの性格、幼なじみの独歩くん、彼らを興味深く見守る寂雷先生のことも好きになってきて。それにまつわるブログも書きまして。



ついに、ヒプノシスマイクの全ディビジョンのCD(計4枚)を買うに至りました。
イエーイ

取り急ぎ、イケブクロディビジョンのCD『Buster Bros!!!』を聴いたので、感想を書こうと思います。

 

参照した情報源

1.イケブクロディビジョンCD『Buster Bros!!! Generation』
2.公式ホームページ


キャラクターについて

https://hypnosismic.com/character/ を参照

  • 一郎、19歳で経営者なのか。すごい。税金対策や帳簿どうしてるんだろう。ダチの不良に公認会計士とかいるのかな?
  • 一郎の「困っているものは見捨てられない正義漢」「面倒見が良いため、誰からも慕われている」って設定、めちゃめちゃ主人公だな
  • 二郎、不良になったのもアニメやラノベが好きなのも、兄がそうだったから、が理由なのか。「兄のことを神格化し」……お、重い……
  • 失礼なことを言うようやけど、二郎くんきみ未亡人顔じゃない? (芸能人で言うと木村多江の系統) 表情が不良のそれだから目立たないけど、儚げに微笑んだらめちゃめちゃそれっぽいと思う
  • 三郎くんは兄たちと違い、不良はしてない天才肌。たぶんあえて独自路線を目指してるような気がする
  • 三郎くん公式で「性格がひん曲がっている」と表現されるの笑う。まあ中学生時代って誰しもそういうところあったよね
  • 髪型と服装の系統が兄弟で驚くほど似ていて、なのに顔の系統が3人とも違う感じなのが気になる。本当に血のつながった兄弟なのか? あと3人とも色の組み合わせが違うオッドアイなのも気になる。
  • 本来1人でも楽しめるアニメやラノベを好きなのが、ダチの多い一郎と二郎で、基本誰かと対戦する想定のボードゲームとカードゲームが好きなのが「友達は少ない」三郎っていうの酷ですね。だからこそいいですね。

CD

  • Generationっていう副題がいいですね。新しい世代としての若者たちなのか

MC B.B『俺が一郎』

俺が一郎

俺が一郎

  • 山田 一郎(CV:木村 昴)
  • アニメ
  • ¥250
初めて聴いたときから、「こいつ絶対にのちのち反逆起こすやんけ」と確信した。
初っぱなのキーンという音、不安を煽る弦楽器の旋律、特徴的なサイレンの音、無線っぽい効果のかかったボーカル。音楽的にめちゃくちゃディストピアと相性がいい。治安が悪いとも言う。(主観) 歌詞にせよ支配者的で、リーダーシップがあることが窺える。

rule the world I'm the リーダー
言えよ say ma name louder

世界を統治したり自分の名前を叫ばせたりしている……こういう人はだいたい革命を目指してるって私知ってる……RADIOFISHで履修したやつだ……

あと、一郎の主人公感がすごい。自身もラッパーである木村昴さんが作詞ということもあり、すごくラッパーらしいラッパー像。歌詞の中にもラップやヒップホップの用語がふんだんに使われている。ラップをテーマにした企画で、主人公になるべくして作られた男って感じだ。
真っ直ぐで家族や仲間思いなところも、主人公ポイントが高い。仲間を信じ、仲間のために命を賭けられる人物でなければ、人々はついてこない。
しかも『新時代到来』『新世代』と歌詞にある通り、一郎は若い。各ディビジョンのリーダーの中でもダントツに若い。仲間を率いる闘争心溢れる「新しい血」、革命の旗印となるには絶好の要素が揃ってる。
以下の歌詞など、まさに反逆者を率いる旗印にふさわしい。

切り開く道で 連れてくぜ異次元
着いて来れるやつは来い いくぜ
新たな天井 越えたその先へ

「異次元」は一郎がアニメ(二次元)好きなのも踏まえての歌詞と思われる。あと「天井」てワードが2回出てくるのは、おそらくガラスの天井(資質のある女性やマイノリティの昇進を妨げる障壁)をイメージしてるんじゃないだろうか。現実では、日本の女性管理職の割合は15%にも満たない(雇用者総数のうち女性の割合は43.5%ー平成26年の働く女性の状況)。ヒプマイの世界観的に、その割合が男女逆転していてもおかしくない。


MC M.B『センセンフコク』

センセンフコク

センセンフコク

すっっごい「一郎の弟」って感じがするんですよね。絶対わざとそうしてると思う。作曲者もわざわざ『俺が一郎』と同じ月蝕会議さんだし。歌い出しで自分の名前を言うところ、ラップ用語の多用、「俺らはFamily」、闘争心溢れるリリック。ちょっと恐ろしいレベルで一郎に影響を受けている。
たぶんセンテンスごとに区切って一郎の歌と比較していったら、だいたい対応箇所が見つかるんじゃないか?

ただそれはマイナス点ではなくて。むしろここまで揃ったコンセプトの2曲を、ここまでちゃんと「コンセプトは似ているけど詞も曲も全く別の歌」にできるのって凄い技術だと思う。うっかりすると似たような曲になっちゃいそうなもんなのに、しっかりと違う曲だ。月蝕会議さんがたぶん天才なんだと思う。

個人的には二郎の鉄砲玉感が好きだ。一郎の闘争心は敵全体や体制に向いていて、仲間を率いることを指向するものだった。だが二郎のそれは目の前の敵に向けられており、自分を奮い立たせるためのものだ。
あと『考えんな 魂で感じるんだ』の言い方が可愛い。可愛い。

兄弟思いなところも面白い。

三番目とは喧嘩ばっか
でかい背中だけ見て育った

二郎は三郎とめちゃくちゃ仲が悪くて喧嘩ばっかしてるんだけど、でも歌詞の中では三郎のことも認めてる。自分たち三兄弟を指して『三連の餓狼』と呼ぶほどだ。三兄弟であることが強力なアイデンティティーになってる。

これ面白いのは、一郎の曲ではめちゃくちゃ兄弟ってワードが出てくるのに、それが三兄弟のことだとはひとことも言っていないこと。1,2,3ってワードは印象的に使われているけど、それが兄弟の数を指すなんて一言も言ってない。あくまで『おれら兄弟』……一郎は二郎と三郎以外のことも含めて兄弟って言ってんじゃないか? つまり、同胞という意味で。

俺にとってはたった一人の親友だがあいつにとって俺はたくさんの友達の一人、みたいなこと? つら。

音楽的には、しっかりしたバンドサウンドなのも好き。この曲のオフボーカルを聴いて、私はなんとなくレッチリを思い浮かべた。演奏がクールで格好いい。好きなのだ、かっけえベース、テクニカルなギターソロ、パンチの効いたドラム、みたいなの。

余談だが、『すでに投げられたダイス』『一、二、三』とかってやっぱ他ディビジョンの登場人物を念頭に置いてるのかな? ハマだけ発見できなかった(見つけた方はよかったらコメントください)


MC L.B.『New star』

New star

New star

  • 山田 三郎(CV:天﨑滉平 )
  • アニメ
  • ¥250
3人の中ではかなり異色の曲。『兄弟でもない例外』とあるほど。だがクラシック曲をサンプリングするってのもまたラッパーらしくはある。

EDMってやつなのか、電子的な音がいっぱいする(子供みたいな感想)。サンプリングや音の複雑な加工がなされているし、フロウが自由自在って感じで次々刻み方が変わる。素人目でもリズムがかなり取りにくそうだ。テクニックで魅せるタイプなのだろう。天才肌とはいえ、かなり勉強も練習もしたんじゃないだろうか。

歌詞には夜が密接に関わる。

この街の誰よりも早く
この街の誰より明るく
young star 光る一番星

宵の明星、金星を指していると思われる。金星として夜の街を照らす、って選択が面白い。太陽でも月でもなく、金星。太陽系では太陽と月の次に明るい星。もしかしたら太陽は一郎、月は二郎のことで、三郎は兄の光が届かないところを照らそうとしているのかも。
『そして今夜もこんなノクターン』。ショパンのが有名なやつだ。日本語でいえば夜想曲。星と夜で繋がってるのと同時に、三郎はクラシックに造詣があると示している歌詞だと思う。

そういえば、二郎がバンドサウンドで三郎が電子音楽なのすごく象徴的だ。それぞれの楽器を演奏してくれる友達がいる二郎と、様々なツールを使いこなして独りで音楽を作る三郎。三郎は友達が……少ない…… まあその代わり技術があるしね!

あと背後で『言われてんぞ!』『充分っしょ』とかわざわざ言いにきてる兄弟がいるな? 二郎意外と三郎のこと好きだな?


ドラマトラック

  • 新しいチーム組むことどうやって聞き付けてきたんだあの兄弟
  • 「低能の証左と言わざるを得ない」、はい中二病
  • 一郎は乱数にはタメ口で寂雷先生には敬語なのか。
  • 二郎三郎お前ら何回も声シンクロしてるやんけ仲良いやろ 長男への声とお互いへの声がまるで違う点も共通している。双子か?
  • 「聞くんじゃなくて言われたことを素直にやってれば問題ない」思想として危険すぎるな? 押せって言われたスイッチ躊躇なく押しそう……。一郎は盲目的になるなって叱ってるけど、盲目的なのは言い訳を一切許さないせいもあると思うぜ
  • 早すぎて引く兄。弟たちの愛の重さを舐めていた模様
  • 二郎「兄ちゃんの弟だからね」「兄ちゃんみたいに」「兄ちゃんみたいに」愛が重い!! 愛が!! 何がお前をそこまでさせるんだ 一体以前に何があったんだ
  • 各ディビジョンに半グレのダチを作る二郎、裏サイトと関係者の裏取りを駆使して資料も作る三郎。方法の違いが明確
  • 三郎、年齢ではどうしても追い付けないことを気にしてるんだな。だからこそ技術や知識で埋めようとしてるのか
  • 「世界を俺たち兄弟で変えてやろうぜ!」熱い男だな
  • ダチいない急所をさくっと刺しちゃう二郎、「いるし!」でも「程度の低いダチなどいらないし!」でもなく「お前には言ってない」という返し方の三郎(つまり本当にダチがいないしそこそこ気にしているらしい 超可愛い)
  • 「こいつの全てが気にくわない!」まあお互い似てるからな
  • 人生ゲームとカイジを高速で衝突させて核融合させたみたいなゲーム出てきたな
  • ゲームでイカサマしないプライド、そこはちょっと疑って悪かったなと思っている二郎。えらいね
  • 一郎何にせよめちゃくちゃ弟たちを誉めるな。飴と鞭の使い方がめちゃくちゃ上手い
  • 三郎くんイカサマはしないって言ってたけど、あんたさっき意図的に説明を省略してたな?
  • 「兄ちゃんはぜってえ諦めねえ!」逆に一郎の心が折れることが万一あったら、ピタゴラスイッチ的に二郎と三郎の心も折れるんだろうな
  • 二郎と三郎が似ていてかつ正反対なのは、一緒に暮らしてる双子の性格や好みが違ってくる現象に似ている。無意識にお互いと差別化するからだ

二郎は一郎の背中を見て育ち、一郎に憧れて不良になりアニメ好きになり、ダチをつくり……って感じで、一郎をコピーしようとしているかのよう。この傾向は曲にも表れてた。
対して三郎は、不良にはならず一郎と少し違うゲーム好きになり、兄たちとは違う手法で情報を集め、兄たちとは違う音楽技術を駆使。兄とは差別化を図っていて、一郎の手の届かないところを補完しようとしている。例えるなら、一郎という凸に対しての凹になろうとしているかのよう。宵と明け方に輝く金星のモチーフもここから来たのだろう。

仲の良い三兄弟だなと思うと同時に、恐るべき同質性集団だなとも思った。一郎をコピーする二郎。一郎を補完する三郎。その実とても似ている二郎と三郎。三郎は他の2人とは違って見えるけど、補完するってことは逆を行くってことで、逆を行くってことは同じ直線上にあるってことだ。1本の数直線上に、一郎二郎三郎の順で並んでいるのだ。

しかも、一郎は確固たる信念があるゆえに、厳格なマイルールがたくさんある。「言い訳するな」「盲目的になるな」「兄弟仲良くしろ」「兄を敬え」等々。言い訳を許さないが、何も聞かずに従うことに苦言を呈すなど、一見するとダブルバインドなルールもある(本人の中ではちゃんと筋が通っている)。一郎のカリスマ性ゆえに、二郎と三郎はそのルールを従順に守る。戒律と呼んでもいいかもしれない。
本当に統率のとれた均質な集団だ。団結力はピカイチだが、その分危うい感じもした。

あと、一郎の曲のディストピアみといい、革命、兄弟等のワードといい、「ビッグブラザー」を盲信するブラザーたちといい、端々から『1984年』の空気を感じるんだよな……。倍超アヒル語話者(ニュースピーク)てラッパーのことだったのでは……。
さすがに考えすぎよね? 父親が「ビッグブラザー」の悪口を寝言で言ってた仕返しに、父親を反逆罪で通報しちゃったエピソードとか出てこないよね?



それ以外に危うさを感じたのは、ホモソーシャルなところ。一郎は本当に昔ながらの古きよき伝統のラッパーって感じ。男らしく、強く、闘争心に溢れ、弱音を吐かず逃げず、ダチを大切にする、それが美徳。一方で昔のヒップホップ文化では、ホモフォビア(同性愛嫌悪)やミソジニー(女性嫌悪)が根強かったらしい。
実際一郎も、言い訳する弟たちに向かって「カマ野郎みたいなセリフ言ってんじゃねえ」と吐き捨てる。基本的には優しく叱っていた一郎が、ここでは嫌悪を顕わにしていた。

にしてもヒプマイの世界観でホモフォビアなのヤバない? 白人至上主義社会で黒人ラッパーが「シロみてえなこと言ってんじゃねえ」って罵倒するようなものか? 『8mile』っぽい。あの世界にもエミネムみたいな立場のフィメールがいるんだろうか?





一郎は革命の旗印にきっとなれるだろうけど、今のままじゃまだ民衆を導く自由の象徴にはなれないと思う。

イケブクロの三兄弟は同質性が高すぎて、一郎は信念が強すぎる。このままじゃ、彼らの仲間になれるのは、一郎の信念を全うできる、男らしい男たちだけだ。二郎みたいな凸と、三郎みたいな凹は、東京の中にたくさんいるだろう。もしかすると男性の多数派かもしれない。そういう人たちを率いることは今でもきっとできる。
だけど、そこにはたぶん一二三や独歩は含まれない。女性嫌悪は全くないけど女性恐怖症の一二三は、「敵をdisるのはよくても敵を恐れてはならない」ラッパーの文化では許されない。メンタルを病み医療機関に頼る独歩も、昔ながらのラッパー的価値観では恥とみなされるはず(カウンセリング受診を弱さの表れとする風潮が昔はあったらしい)。
今革命を起こして仮に成功しても、今度は男らしい男が偉い世界になるだけなんじゃないだろうか。
私がまだ知らないだけで、ヨコハマやシブヤにも、包摂されないキャラクターがいるかもしれない。

でも希望はある。
彼は若い。しかも主人公になるべくして生まれてきたような人だ。
きっと戦いを通して成長していく。
各ディビジョンに分かれて、それぞれが選んだ仲間を連れて、チームごとに戦うことが、一郎をどう変えていくだろう。彼の信念とは違うけれど、自分に誇りを持った大人たちと身を削り合って、彼の価値観はどんな風に広がっていくだろう。

その戦いを経た後になら、彼は真の意味で革命の旗印になれるんじゃないだろうか。多数派の男たちだけでなく、マイノリティの男性や、男女平等を目指す女性をもまとめ、率いる、自由の象徴に。



そういえば、二郎の性格も三郎の性格も、一郎を基準に構成されてるとしたら。彼らのアイデンティティーは何なんだ? 何が、彼らの本当にやりたいことなのか?
一郎のためにやるんじゃなくて、一郎にやめろと言われてでもやりたいこと。

……兄弟喧嘩かなぁ。





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