蟹を茹でる

カニ @uminosachi_uni の雑記ブログです。好きなもののこと何でも。

短歌

遅刻遅刻!登校急ぐ食パンはこの日初めて特急を見た

花が(死ぬ間際の祖父に会いに行く母の真っ直ぐ伸びた背に)降る

ゲーミングぼうやが青く光ってる 学校で何かあったのかしら

日本をマッチョが支配し階段が反りたつ壁になってる悪夢

あれ痩せた?ファッション変えた?髪切った?指名手配はされてないよね

目出し帽被った二人組が来てATMを使って帰った

目に映るすべてのことがメッセージ陰謀論の手口だよそれ

親友とサシのLINEに既読6 もしかして多重人格なのか

吹き出しに任意の台詞入れられてルフィの黒目がきれいに丸い

ニンゲンよ酒をあるだけ持ってこい おつりでおかし買ってもいいよ

メーカーと卸と小売と居酒屋を経て俺の注いだ酒だぞ飲めよ

火事ですか救急ですかサメですかC級映画は初めてですか

遊園地ポケモン捜索8時間ボールプールにマリルまぎれる

サイゼリヤ地にはアムウェイ天には絵ドリンクバーの自由はfake

七月は洗濯物がよく乾く 汗をかかせる詫び石として

二段階左折が右折になる朝だ78年夏の沖縄

「やや強い風ってどんな風ですか?」「体感的には強い風です」

夕暮れのあわい日陰は冷やされて街はひととき水色がかる

生活

丁寧な暮らしをしてもドジはドジ 伸び放題の豆苗2鉢

着心地のいいシャツばかり着てしまいこうして磨耗していく世界

「お願い!!」のびっくりマークと目が合ってトイレのテプラはどれも切実

日常に確かなことがほしいのさ現金送れは全て詐欺とか

雑草という草なんてないらしい パックの刺身にのせるたんぽぽ

移動

春暁の鴨川デルタ占拠してぜんぶ保留で昼寝しようよ

旅先のパン屋で買った珍しいパンがおいしい少しさみしい

初めての街をひとりで歩くときクレープはやや花束である

初めてを知るのがたやすい今生でこの世の趣味は全部やりたい

世の中のすべての椅子に座るのは無理かな無理で別にいいけど

回転

病院で同じビデオが延々と流れて輪廻転生みたい

走馬灯にコンマ数秒挟まれたZAZYに慣れていただく時間

メイドインワリオの「死ね!」を見たとたんこれは夢だとわかりましたよ

ジェットコースターのような人生でいいねレールが敷かれているし

きみはぼくを明るいという 太陽は地球の夜を見ることがない

労働

ノー残業デーの夜中に煌々と立ったまま寝ている検温器

ムリムラムダのムラとムダだけなくしてさずっとムリしてくれよだなんて

お湯加減どう?ギリいける?じゃあもっと沸かすぜ! みたいなことばかりある

昼休み 待つわ食後のコーヒーをさほど飲みたくないコーヒーを

ともだちに贈るアイシャドウを選ぶこれが仕事になればいいのに

食べ物

人類はハムとチーズで出来ている神経伝達物質の都市

朝食のフリーズドライの味噌汁の立方体のとうふはけなげ

土曜日も雨で部屋から出られない きょうもかに雑炊はやさしい

無印のカフェで飲もうよていねいな暮らしの色のブルー・ハワイを

コンビニの「むらさきいものモンブラン」安い矛盾を腹におさめて

化け物

あの家に住んでるらしい吸血鬼いつも結露でびちゃびちゃの窓

きょ↑じ↓ん↓なら野球のことできょ↓じ↑ん→なら魔物でどっちにしても強いね

人狼の村の怖さは狼じゃなくて全体主義にあります

蛾でさえもそうなのだから赤鬼もふかふかならば愛されたはず

ごんの死後も届き続ける栗の山 お前は善意のつもりだろうか

ニューデリーの犬はなんだか細長いおそらく生地はナンと同じだ

あの角にマーキングする決意固め飼い主を引きずってくチワワ

パトラッシュもう疲れたよ眠いんだ夕飯ウーバーイーツにしない?

「はいチーズ」首輪を渡されるバタコ おまえ、あいつに、いったいなにを

飼い主の命を狙っているようでカレーにチョコを混ぜる黒猫

「まんまる」と名付けた野良の白猫がキャサリンとして探されている

金縛りお腹に重み誰かいる 猫飼ったことあってよかった

猫はみな健康であれ猫はみな安全であれ路地裏に春

動物

おじさんの取っ組み合いを止める人「やめてください!パンダが見てる」

レミングはいつも崖から飛び降りて雑学王の頭の中へ

目覚めると体が虫になっており これ精神科?内科?獣医か?

ペンギンが空を飛ぶのを見たければ海を夜空と呼ぶだけでよい

錆びついたペダルしっかり踏みしめてスワンボートよ真昼の湖へ

逃げること身を隠すこと黙ることねずみとおれの生きていき方

もちを丸呑みしてはいけない

お医者さん向けの本って読んでも内容難しくて全然わからないんですけど、けっこう面白いことも書いてある。*1

買ったらふつうに5000円以上するので、基本は図書館で読んでいる。

 

救急外科の本には、「もちを6つ丸呑みして腹痛で緊急搬送された人」の事例が載ってた。

もちは、丸呑みしてはいけない。

 

まず、もちは熱々のときは柔らかくてよく伸びるが、冷えるとカチカチになる。

しかも胃酸はもちを消化できない上、でんぷんを消化する酵素アミラーゼのはたらきを阻害してしまう。

かくして消化不良のもちは胃と十二指腸の関門を通り抜けられず、胃を内側から攻撃するカチカチの石となる。

童話の狼*2がやられる報復じゃん。

 

もちって窒息以外の攻撃技も使えるんだ

 

 

他には小児救急の本に書いてた、「親御さんの『発熱や嘔吐など目立った症状があるわけじゃないんだけど、何か様子がおかしい』という感覚は、信頼できる重症度の指標になる」という話も興味深かった。

いつも子どもを見てる親御さんの勘、けっこう当たるらしい。

*1:ガチ医学書より、レジデントノート的な実務寄りの本が読みやすくておすすめ

*2:おおかみと七匹の子山羊

でかい人を見ると嬉しい

背の高い人を見ると嬉しくなってしまう。
好みとかそういう問題というよりは、ただ、見たら「おお〜!」と思う。

 

そのせいで自分より背の高い人に出会うと、反射的に「〇〇さん背ぇ高いですね!」とキラキラした目で言ってしまう。

それを言って何になるというわけでもないのに。
「背ぇ高いですね!」って言われたところで、言われた方はリアクションに困るだけとはわかっているのに。
「いや〜ありがとうございます」と「〇〇〇cmです」くらいしか返しのパターンないのに。

ただ、言ってる方としては何か気の利いた返しをしてほしいわけでもなく、たぶん褒めてるつもりもない。

新幹線見た子どもが「しんかんせん!」って言ってるのとだいたい同じ。
見たものを口に出してるだけ。

 

それでふと思ったんですけど、最近会う方会う方に「出身関西ですか?」って聞かれる。すごい高確率で聞かれる。

東京やのに関西弁で喋ってる人が気になる……? それか『触れやなあかん感じ』になってる……?
とちょっとだけ気になってたけど、これも「しんかんせん!」と同じ枠の発話なのかもしれない。

そこにそれ(関西弁)があるから。

 

高身長・新幹線・関西弁
=KSK

 

そう思ったので、これからもカニはガンガン関西弁で喋ろうと思います。
それで「出身関西ですか?」って聞かれたら「そうなんですよ〜」って答えるので、気になったら全然聞いてください。

都道府県トークって初対面でする話の定番ですしね。

 

そして、もしカニに「背ぇ高いですね!」と言われたとしてもそこに他意はないし、別にリアクションは「そうやねん」とかでよい、ということをご承知おきください。

でも背の高さは身体に関わることなので、できるだけ言わないようにしたいと思います。勝手に嬉しくなっておきます。

かわいい雑学 食パン

お題「披露する機会がないけど語りたい薀蓄(うんちく)教えてください。」

短くてかわいい雑学をひとつ。

 

あるレーザー加工の入門書の巻末に、「日本のレーザー加工導入期の失敗談一覧」みたいなのが載ってました

要は、海外からレーザー加工技術が入ってきたばかりの揺籃期には、レーザーカッターが何に使えるか誰もよくわかってなかったわけです

それで色んなものを切ったり加工したりしてみて、その分色んな失敗もあったらしい

 

その一覧の事例のひとつで、

失敗事例:食パンをカットしようとした

失敗原因:トーストになってしまう。

って書かれてて可愛かった

 

確かに、レーザーカッターで食品切ったら焼けてしまうよな……

失敗の理由が「食品が焼けてしまう」「表面が焦げてしまう」とかじゃなくて「トーストになってしまう。」なのがめちゃくちゃ可愛かったです

 

知らんジャンルの本を読むと、こういうのが見つかるのが楽しいです

お菓子を食うことの効用

甘いもの食うのってやめられねえ!!

お題「私○○がやめられないんです!」

 

お菓子を食うことの効用

お菓子のジャンルとか特性によって、食べたときの効用が違う気がします。

 

良いお菓子の場合

例えば、デパ地下に売っている1粒432円のショコラボンボン。

あるいは、閑静な住宅街にひっそりたたずむ和菓子屋さんの、つやつやした栗羊羹。

良いお菓子(ちょっと高級なお菓子)は見た目からして美しい。凡庸なたとえではあるけれど、良いお菓子とは食べたらなくなるジュエリーなのだ。

 

味もそう。この世には美味しいものがあふれていて、スナック菓子やラーメンだってそれぞれに旨い。

ただ、良いお菓子というのは「丁寧につくられた」ものの味がする。人の手をかけてこのかたちに仕上げましたよ、と伝わってくる味。

このレベルで「丁寧につくられた」味の料理をレストランで食べようと思ったら、まあ3~4000円はするだろう。質の良いものに手が届きやすいのがスイーツの嬉しさ。

 

丁寧につくられた良いお菓子を食べていると、なんとなく自分を大切にしている気持ちになれる。好きだ。

 

コンビニスイーツの場合

コンビニスイーツはいつでも手に入るところが良い。

まだ頑張らないいけない平日の昼休みに。精神が疲れてしまった仕事終わりの帰宅途中に。あともうひと踏ん張りしなくてはならない夜に。

人生におけるコンビニスイーツのコーナーはマラソンにおける給水所みたいなものである。精神の補給地点。なんなら心が寂しいときにぎゅっとできるぬいぐるみとかも置いてくれてもいいと思う。

 

コンビニスイーツは「むさぼり食う」ことができるところが好きだ。味わうとか食材に向き合うとかは疲れてしまうような日にも、ただ衝動をぶつけて補償を求めるようにむさぼり食うことができる。

心の中のポメラニアンが「ヴゥーーッ」って牙剥き出しで唸ってるとき、ついコンビニスイーツを求めてしまう。

自分で自分に餌付けしているみたいで、客観視するとちょっと間抜けで愉快。好きだ。

 

甘いもの食うのってやめられねえ!!

【仮面ライダー映画2021】よかったところ

12/17公開『仮面ライダー ビヨンド・ジェネレーションズ』を観ました。

そもそもは「オリラジ藤森さんがベルトとスタンプの声を当てている」という理由で観始めた今期の仮面ライダー
まさか成人してから仮面ライダー映画を生まれて初めて観に行くことになるとは。藤森慎吾は俺の世界を拡げてくれる……

仮面ライダー50周年を記念する映画だけあり、仮面ライダーシリーズへのリスペクトが随所に見える作品でした。

過去50年から受け継いだものを、未来の50年に託す。これまで仮面ライダーの継承に関わった人々、そして仮面ライダーに憧れたもっと大勢の人がいる。
それらを意識して作られていると感じました。

「家族の絆」と「歴史の継承」の2大テーマをこれでもかと強調しつつ*1、派手派手なお祭り要素も盛り込まれていて、最後まで飽きない映画でした。

バイスしか知らない人間でも十分楽しかったですが、過去作を知ってれば解像度はもっと上がるはず。
特にセイバーを観てた人なら、キャラクター性や人間関係がわかってより楽しめるだろうな……と思いました。

以下、ネタバレを含む感想(よかったところ)です。





研究者の業

百瀬龍之介とジョージ狩崎、ふたりの研究者の業が描かれてたのが興味深かったです。

ショッカーの所属研究者にも独自の価値観があった、ってコンセプトがいい。
悪の組織に心酔したり洗脳されたりしたわけではなく、「ここでなら外部機関では不可能な(倫理に反する)研究ができる」を理由に百瀬はショッカーを選んだ。人間くさくて、同時にマッドな研究者の業。

百瀬のやってた「神をも恐れぬ領域」の研究、たぶんヒトDNAの編集ですよね。
「クリスパースタンプ」は明らかにゲノム編集を意識した名称だし、偉人の遺伝子情報が組み込まれている。何より50年前には怪人を作りまくってたし。


狩崎パパが開発したバイスタンプは古生物や現生動物のゲノムを利用していたけれど、百瀬は一戦を越えて人間の遺伝子に手を出してしまった。

狩崎も百瀬もマッドサイエンティストには違いない。ギリギリを踏み越えて外道に堕ちてしまったのが百瀬、たまたまそうならずに済んだのが狩崎、ということかも。

これは狩崎の方が倫理的とかではたぶん全くなく、単に彼はヒトに興味がなかっただけだと思います。
狩崎の研究倫理も間違いなく終わっている。クローンライダーを嬉々として収集する人なので……

狩崎の一存で次々にクローンライダーアーマーが選ばれる場面、あれ着せ替え遊びみたいで狩崎は超楽しかっただろうな……

印象的なアイテムの使い方

アイテムを象徴的に使うのが上手いのも見どころ。

「新幹線の切符」は時代背景を反映させつつ、親子の思い出をドラマチックに見せていました。
ベタな手法ではありますが、分かりやすくて効果的。

「遺伝子」も上手いモチーフ。
ひとつは家族内で継承される血の象徴として、ひとつはコピー・改変して利用できるデータとして。

この両義性で「家族の絆」と「歴史の継承」、「研究者の業」がひとつながりに接続されているのが非常に綺麗です。

1号へのリスペクト

仮面ライダー1号の登場シーンが非常に昭和っぽかったのも大好きでした。なるたけ歴史を改変しないように留意している……

本郷猛役の藤岡真威人さん、マジで演技の濃さが藤岡弘のそれ。ご子息なので当然のように再現が上手い。

怪人との戦闘シーンも昭和の風が満載。
ロケ地が広大な採石場なのも、ライダーと怪人のアーマーが今よりシンプルで布地メインなのも、カットの切り替わり方や「とうっ!」と言いながら宙返りジャンプする演出も。

見たことないはずの無印がなぜか懐かしい。
CGや電子音をふんだんに駆使した映画に、昭和完全再現のシーンが挿入されているのが妙に面白くて最高だと思いました。

それぞれに役割がある

ストーリーの都合上、フォーカスされるのは百瀬親子とセンチュリー。セイバー・リバイスの両陣は彼らをサポートする役回り。

映画オリジナルのキャラが主題になるのは、子供向け長寿番組の王道でしょうか。ドラえもんアンパンマンの映画もそうですよね。

とはいえ一輝は主人公として物語を力強く推進していくし、バイスは「第4の壁を越えて観客にめちゃめちゃ喋りかける」ことで個性を発揮。セイバーの主人公・飛羽真は憧れの先輩ポジションで非常に頼りになる。
サブに甘んじているわけではなく、各キャラの良さが出ていました。

加えて、若い男性だけではない、幅広い人材が活躍していたのもよかったです。女性ライダーがバリバリ戦っていたし、センチュリーに変身した百瀬親子はかなり年齢層が高め。*2


この映画のキャラクターは、仮面ライダーを支えてきた人々をモチーフにしていると思います。

本郷猛と百瀬龍之介はおそらく「仮面ライダー1号を生み出した人々」の象徴。百瀬秀夫は「あの時仮面ライダーに夢中だった、そして今では仮面ライダー好きの子を持つ親」。
ジョージ狩崎は「生涯仮面ライダーを愛し続けるマニア」であり、愛が高じて制作に関わる道を選んだファンでもある。

作る人がいて、次世代に受け継ぐ人がいて、大人になっても愛し続ける人がいるから仮面ライダーの歴史がある。その重みにグッときました。

*1:悪人にも守りたい家族がいる、という描き方は良かったが「子を愛さない親なんていない!」と断言した百瀬父には若干危うさを感じた

*2:戦うババア成分が足りないと感じた方には『マッドマックス 怒りのデスロード』を強くおすすめします。最高の映画です

スピッツ「ロビンソン」の国は国家の要件を満たすか

スピッツ「ロビンソン」にはこんな歌詞がある。

誰も触われない 二人だけの国
君の手を離さぬように
大きな力で 空に浮かべたら
ルララ 宇宙の風に乗る

そう、二人だけの国である。
それは本当に国だと言えるのだろうか
考えてみた。


国家の4要件

国家の資格要件 - Wikipedia
モンテビデオ条約では、国家の成立要件として次の4要素が挙げられている。

  • 国民
  • 領土
  • 政府
  • 主権

国民

国家が成立するには、国民が存在しなくてはならない。この要件は満たされていると考えてよいだろう。「二人だけ」ではあるが、国民の存在が歌われている。

主権

国家は他国から独立して、主権を行使できる状態でなくてはならない。傀儡国家は独立した国とは認められない。
こちらも歌詞に「誰も触われない」とあるので、他国の支配を受けず国家管轄権を行使できるものと見て良さそうである。

政府

ある地域を国家と認めるためには、それを実効的に統治する政府が必要である。政府の存在は歌詞に明示されていない。対外的には自立しているようだが、対内的にはどうか。
歌詞には「大きな力で」とあり、国内を実効支配する能力があると読めなくもない。かなり強引な解釈ではあるが。

領土

領土の存在は国家の最も本質的な要件である。
これも歌詞には明示されていない。だが、「空に浮かべたら」とあるので、二人だけの国には何らかの浮かべられる実体が存在しそうである。
「宇宙の風に乗る」というフレーズより、この実体は宇宙空間に存在すると推測できる。

しかし、宇宙条約第2条において、宇宙空間に対してはいずれの国家も領有権を主張することはできないと定められている。
よって、これを領土と認めれば二人だけの国は国家の要件を満たすが、二人だけの国が国家だとすれば宇宙の領有権は主張できず領土を持てない。パラドックスである。


まあ少なくとも国家承認は絶対されないだろう。